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高齢化が進むトラックドライバーにとって荷物の積み降ろしは辛いのよ……そんな悩みに救世主! コカコーラの工場で自動運転フォークリフトが稼働を開始!!

高齢化が進むトラックドライバーにとって荷物の積み降ろしは辛いのよ……そんな悩みに救世主! コカコーラの工場で自動運転フォークリフトが稼働を開始!!

この記事をまとめると

■2024年問題が顕在化する以前から物流業界では深刻な人手不足が続いている

■荷物積み降ろし作業はドライバーへの大きな負担となっている

■4本フォーク荷役対応自動運転フォークリフトが省力化と効率化を可能にする

深刻化する物流現場の人材確保の壁

 2024年4月の働き方改革関連法の物流業界への本格適用、いわゆる「2024年問題」以前から、人手不足は同業界の大きな課題となっていた。トラックドライバーはもちろん、物流倉庫や工場などでトラックに荷物を積み込むフォークリフトオペレーターの減少も深刻化している。

 そのため、多くの現場では専任のオペレーターが常駐せず、積み降ろし作業──いわゆる荷役(正しくは「にやく」と読むが、トラック業界では「にえき」と呼ばれることが多い)を、ドライバーが「付帯業務」として担っているのが現状だ。これもまた2024年問題における重要な課題のひとつである。

 鮮魚や青果の積み込み・荷降ろしも大きな労力をともなうが、お酒や清涼飲料などの飲料類となると、その負担はさらに増す。積み荷が液体であるため非常に重く、しかも天地(上下)が決まっており、逆さに積むことができない。さらに、積載時のズレや荷崩れによって商品価値が失われてしまうリスクも抱えている。このため、こうした積み降ろし作業には非常に神経を使うといわれている

国内初となる4本フォーク自動運転フォークリフトが本格稼働

 そんな飲料業界での物流の課題を解決する方策が、飲料メーカーの最大手であるコカ・コーラ ボトラーズジャパンとフォークリフトメーカー最大手の豊田自動織機の協業で実現した。2025年5月9日より山梨県白州町にあるコカ・コーラ ボトラーズジャパンの白州工場倉庫で、豊田自動織機が開発した国内初となる4本フォークタイプのトラック荷役対応自動運転フォークリフトが本格稼働したのである。

 このフォークリフトは4本フォークを採用しており、一度にふたつのパレットを運搬して積み降ろしをすることが可能だ。さらに、AIを活用した自動運転によってトラックへのアプローチ制御を最適化。パレットの間に隙間を作らず、高い精度で積載することが可能だ。

 このように熟練オペレーターが操る有人フォークリフトと同水準の安全かつ効率的な荷役・搬送作業を実現することで、人員確保が難しい夜間の出荷体制の強化にもつながっているという。

 この自動運転フォークリフトは2024年9月から豊田自動織機の協力のもと実証実験を重ねてきた。今回実働化を実現したことで、自動倉庫化を推進する白州工場倉庫では、製品製造から倉庫保管まですべての工程の自動化に成功したことになる。

 文頭でも述べたが、トラックへの積み降ろし作業は物流業界のあらゆる現場でドライバーの大きな負担となっている。重い荷物の積み降ろしが原因で発症する「ぎっくり腰」は、もはやドライバーの職業病ともいえる。積み荷を自動で判別し、的確に荷降ろしできる精度の高い自動運転フォークリフトが完成・実用化されれば、トラックの積み降ろしにかかわる「2024年問題」も解決に向かい、ドライバーの労働環境は劇的に改善するだろう。その結果、ドライバーの離職や人手不足の問題も着実に解消していくに違いない。

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