
この記事をまとめると
■ここ数年で誕生した人気モデルは納期遅延が顕著だ
■部品不足や生産が追いつかないケースのほかに受注の前倒しが納期遅延の原因だ
■3代目のトヨタ・プリウスの販売時に行った予約受注は納期遅延の象徴的な出来事だった
納期遅延がなぜこうも増えたのか
最近は納期が1年前後に遅延して、受注を停止させる車種が増えた。納期が著しく延びると、納車を待つ間に改良やモデルチェンジを受けることになる。そこで受注を停止させ、納車が完了するメドが立った段階で、改めて受注を再開する。
そして納期の遅延には3つのパターンがある。ひとつは以前のコロナ禍のように、部品やユニットの供給不足で納期が延びる場合だ。
ふたつ目はトヨタのアルファードやランドクルーザー、スズキ・ジムニーノマド、シビックタイプRなどのように、日本仕様の生産が需要に追い付かないケースだ。
そして3つ目は、メーカーの正式発表、あるいは生産や納車を伴う発売に先立ち、販売店で予約受注の開始時期を前倒しする場合がある。
たとえば新型の三菱デリカミニは、2025年8月25日時点で、動力性能や燃費などの正確なデータ、各グレードに装着される詳細な装備内容、価格などは公表されていない。メーカーのホームページなどに、いわゆるティザーキャンペーンの概要が掲載されているだけだ。
ところが販売店では、2025年8月23日から、前述のデータや装備内容、価格を明らかにして予約受注を行っている。販売店では実質的に販売活動を開始しているのだ。
三菱の販売店によると、2025年9月18日に各種のデータや価格が発表され、10月19日(延期される可能性も高い)に、本格的な納車を開始する予定だという。従って、8月23日に予約受注に応じたユーザーは、納車されるまで、少なくとも約2カ月は待たされてしまう。
このような予約受注を行う理由は、メーカーにとって都合がいいからだ。たとえば発表/発売日よりも3カ月前に予約受注を開始すれば、発表や発売を行った時点で、大量の受注が溜まっている。売れ筋グレードや人気のオプション装備も予めわかるため、下請メーカーに対する部品の発注なども正確に行える。見込違いが生じない。
そして受注が溜まっていれば、発表/発売日以降は、迅速に生産を行って効率よく納車できる。「発売後1カ月で2万台を受注」などと報道発表を行い、人気をアピールすることも可能だ。実際には予約受注の前倒し期間が3カ月なら、発売後1カ月後ではなく4カ月を費やして受注したことになるが、報道発表資料にそこまでは記載されない。
昨今の納期遅延には、この予約受注も影響を与えている。メーカーには生産や納車の効率が向上して好都合だが、ユーザーは延々と待たされてしまう。顧客を無視した身勝手な売り方だ。