
この記事をまとめると
■レーシングドライバーは引退後にはどのような活動をしているのかを聞いた
■脇阪寿一監督はレース経験を活かしたことをしている人が多いと回答
■片山右京監督は登山家やサイクリストなどさまざまなことに挑戦してきた
レーシングドライバーの第二の人生
TGR TEAM KeePer CERUMOで38号車「KeePer CERUMO GR Supra」を駆る石浦宏明選手に加えて、Modulo Nakajima Racingで64号車「Modulo CIVIC TYPE R-GT」を駆る伊沢拓也選手がGT500クラスでの活動終了を発表。2025年のスーパーGTでは、ベテランドライバーが相次いで最高峰クラスでの活動に終止符を打つようだが、そもそもレーシングドライバーは引退後、どのような活動をしているのか?
もちろん、石浦選手や伊沢選手はまだまだトップレベルの実力をもつだけに、ほかのカテゴリーでの活躍が期待されているが、果たしてドライバーとしての活動を終了した後は、どのようなセカンドライフを過ごしているのだろう?
というわけで、8月23〜24日、スーパーGT第5戦「SUZUKA GT 300KM RACE」の舞台となった三重県の鈴鹿サーキットで、引退後もモータースポーツシーンで活躍する元ドライバーを直撃してみた。
まず、レーシングドライバーの引退後のセカンドライフとしてイメージされるのが、レーシングチームの監督だといえるだろう。プロ野球選手が引退後、監督やコーチに就任するなど指導者となるケースが多いが、レーシングドライバーもまた監督になるケースが少なくはない。
たとえば元F1ドライバーの中嶋悟氏が「Modulo Nakajima Racing」、鈴木亜久里氏が「ARTA」、スーパーGTで活躍した金石勝智氏が「Astemo CIVIC RACING」、近藤真彦氏が「KONDO RACING」のチームオーナーおよび監督としてチームマネジメントを実施するほか、自身もスーパーGTで活躍した星野一樹氏が「TEAM IMPUL」、ミハエル・クルム氏が「TGR TEAM Deloitte TOM’S」、立川祐路氏が「TGR TEAM KeePer CERUMO」の監督を担当。
さらに、スーパー耐久ではドライバーとしても活動する伊藤大輔氏が「TGR TEAM au TOM’S」の監督を務めるなど、数多くのドライバー経験者が監督としてレースオペレーションを実施していることから、まずはドライバーとしてもスーパーGTで活躍してきた「TGR TEAM SARD」の脇阪寿一監督にレーシングドライバーの引退後の進路について聞いてみた。
──まず、基本的な質問ですが、脇阪監督はドライバーとして引退されていますか?
脇阪監督:ドライバーは自ら決断して退く選手とシートがなくなって自動的に引退する選手だったりとシチュエーションも異なるし、カテゴリーもいろいろあるので、引退の概念は難しいけれど、自分自身はドライバーとして引退していると思っています。86/BRZレースをやったりしましたが、スーパーGTを引退した時点で引退したと思っています。
──脇阪監督もそうですが、ドライバー引退後にチーム監督をやっているケースが多いですよね。それ以外のドライバーのセカンドライフとしては、どのようなものがあるんでしょうか?
脇阪監督:TGRだとクルマの開発をやっている人もいますよね。MORIZOさんがそういった道を作ってくれたこともありますが、開発に関してはレーシングドライバーの経験が活かせますよね。
──なるほど。あとはレーシングスクールの講師をやっている方も多いですが、そういった分野でもレースキャリアが活かせますよね?
脇阪監督:レースは“究極の安全運転”だと思うんですよね。レーシングドライバーは危ないことをしているイメージをもつ人もいると思いますが、クルマをハイスピードで走らせながらも安全にゴールまで運んでいるし、レース中にクルマをぶつけてリタイヤすることの多い選手は契約されないと思うので、長く続けてきた選手はスキルがあると思う。そういった意味ではレーシングスクールのほか、交通安全に繋がることなんかができると思う。元ドライバーも収入を得ることができるし、社会に貢献できると思う。タクシー会社と契約してドライビングの指導など、いろんな分野で活躍できるんじゃないかな。