
この記事をまとめると
■空気圧管理はクルマに乗る上で重要な項目だ
■ミシュランはトラクターのタイヤにおいて「低い空気圧」を提案している
■低い空気圧で得られるメリットを北海道で試してきた
タイヤには欠かせない空気圧管理
突然だが、皆さんはタイヤの空気圧調整は行なっているだろうか? 多少なりともクルマ好きを自負する筆者も、その重要性は認知しており、常日頃から気にかけている。
空気圧の目安は車種によって異なるので割愛するが、多くの車種ではBピラーのドアキャッチあたりにその車種に最適な空気圧が書かれているので、その数値に合わせれば問題ない。月1回程度は確認しておきたい。
この空気圧管理がちゃんとできていないと、タイヤの劣化が進むだけでなく、燃費も悪化し、最悪の場合、走行中にバーストし、大事故になる可能性もある。実際、大型連休中の高速道路では、空気圧不足からのバーストもよく起こっている。ガソリンスタンドなどで無料でチェックできることが大半なので、「しばらく見てないかも……」と思った人は、いま一度、愛車のタイヤの空気圧を見てみよう。
……と、ここまでごく一般的な話をしてみたが、ミシュランがこれまでの常識を覆す、とんでもない理論を見せたいということで、はるばる夏の北海道へ飛んだ。
降り立ったのは北海道美幌町にある日本ニューホランド美幌営業所。クルマ媒体に関わっている筆者的にはあまり馴染みがないブランドだが、このメーカーはイタリアのトラクターメーカーだ。見渡す限り畑という北海道では20%ほどのシェアを持っているんだとか。
そして、その営業所の特設会場にデカデカと並べられていたのが、お馴染みのミシュランロゴ。そう。今回訪れたのは、なんとトラクター用タイヤの取材である!
普段からマイクロモビリティやスーパーカーにも触れているので、普通免許で扱えるものは大体触ってきたが、流石にトラクターは初だ(子どもの頃にとある工事現場でパワーショベルに乗ったことがあるが……)。
ちなみにここで見せたいのは、先述のように理論だ。なので新作タイヤでもなければ新車のトラクターでもない。ではどんな理論か? それはトラクター用タイヤの空気圧に関する話だった。
トラクターのタイヤは、我々が乗るクルマと同様に空気を入れて使う一般的なモノで、構造自体は同じ。広大な畑を持つ農家が多い北海道では、トラクターが自家用車並みの稼働率を誇ることも珍しくない。
しかし、タイヤの空気圧管理に関してはクルマ以下というケースが多く、減りに減って、明らかに「これは空気がない!」みたいな状況にならないと空気を入れることがないそうだ。
あくまでトラクターは仕事道具、それも高速を走ったりましてやドライブをするわけではないので、こういった認識になってしまうのも理解できる。
そんなトラクター用タイヤにおける適正な空気圧はクルマと似ていて、大体230kPa前後とのこと。では、今回の理論でミシュランはいくつを提唱したいのか。その数値、なんと「60kPa」。半分以下の数値だ。というかほぼペッタンコ!
エア調整をよくする人ならわかると思うが、これはもう入っていないに等しい数値。自身の愛車であれば、よほど長期間放置していたか、もはやパンクを疑うレベル。これはいったいどういうことなのか。