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「ライバルより売れることがすべて」……は過去の話! 熾烈な自動車メーカーの「ガチンコライバル投入」が消えたワケ (2/2ページ)

「ライバルより売れることがすべて」……は過去の話! 熾烈な自動車メーカーの「ガチンコライバル投入」が消えたワケ

この記事をまとめると

■2010年頃までは車種ごとに典型的な一騎打ちの構図が存在した

■現在までは車種削減や値引き減少などで比較競争が目立たなくなった

■トヨタの執拗な追撃姿勢が弱まったことも大きな影響を与えている

消えた「ライバル対決」

 以前は典型的な1対1のライバル競争がよく話題になった。SUVなら日産テラノvsトヨタ・ハイラックス。ミニバンはホンダ・ストリームvsトヨタ・ウィッシュ、あるいは日産エルグランドvsトヨタ・アルファード。ワゴンならスバル・レガシィツーリングワゴンvsトヨタ・カルディナ。コンパクトカーは日産マーチvsトヨタ・スターレット。セダンでは日産サニーvsトヨタ・カローラ、日産ブルーバード対トヨタ・コロナ、日産ローレルvsトヨタ・マークIIという具合だ。

 2010年ごろまでは一騎打ちが話題になったが、最近は大人しい。ホンダ・フリードvsトヨタ・シエンタのような一騎打ちはいまでも成り立つが、あまり話題にならない。この背景には複数の理由がある。

 まず、2008年のリーマンショックのころから車種が減ったことだ。以前は各メーカーがさまざまなカテゴリーに複数の車種を投入したが、いまは電気自動車や自動運転などの技術開発を行う必要もあり、効率が重視される。そのために販売が低迷する車種は廃止され、不人気カテゴリーのセダン/ワゴン/クーペを用意しないメーカーもある。セダンやワゴンのライバル対決も成立しない。

 不人気車が減る一方で、人気のカテゴリーには多くの車種が群がる。この典型は全高が1700mmを超える軽自動車のスーパーハイトワゴンだ。ホンダN-BOX/スズキ・スペーシア/ダイハツ・タントが販売上位を争い、日産ルークスや三菱eKスペース&デリカミニもこの争いに入る。競争は激しいが、車種も多いために一騎打ちは成立しない。

 インターネットの普及も影響を与えた。インターネットのない時代は、販売店に出かけて資料を集めたから、ストリームとウィッシュ、レガシィツーリングワゴンとカルディナという具合に、ライバル車同士を比較することも多かった。

 しかしインターネットが普及したいまは、自宅で情報を収集する。セールスマンによると「いまのお客様は、購入する車種やグレードを決めてから来店する」とのことで、購入の際に販売店へ出かける回数も2〜3回に減った。最初の来店で見積書を作って確認のための試乗も行ったら、次は契約だ。こうなるとユーザーはインターネットを使った比較検討を行うが、話題にはなりにくい。

 とくにいまは、新車購入の約80%が乗り換えに基づく。クルマの選び方や買い方をよく知っているから、選択に迷って一騎打ちの比較をする機会が減った。

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