
この記事をまとめると
■近年のモータースポーツシーンではEVマシンが活躍し始めている
■EVモータースポーツは充電のやりくりなどで各社がしのぎを削るEV技術の闘いでもある
■発展途上とはいえEVラリーに往年の盛り上がりが戻ってくるのは時間の問題だ
近年盛り上がりを見せるEVラリーカー界隈
ラリー界隈でもEVマシンが活躍し始めていて、ラリー独特のルールで観戦してみると、じつに興味深いもの。たとえば、セクション間の充電スキームなどは各社がしのぎを削っていたりして、ラリーカーそのものの仕上がりに加え、EV技術の闘いにもなっているのです。先ごろ発表されたアルピーヌA290をはじめ、ラリーの古豪たちが走らせるEVラリーカーをご紹介しましょう。
1)アルピーヌA290ラリー
ルノー5をアルピーヌがラリーチューンといえば、ベテラン勢は胸の高まりが抑えられないはず。EV世代となったいまも、アルピーヌのアイデンティティは変わることなく、モンテカルロやコルサに映えまくりなこと間違いありません。
パッケージはFFを踏襲し、最高出力220馬力と最大トルク約300N·mを発生。ノーマルは150馬力とされているので、これだけでも痛快な走りが期待できるというもの。また、フロントにはアルピーヌ特製のLSDが装備され、これまたFFならではのシャープでクイックなターンが見られること、楽しみでなりません。
また、ラリーの本番でも機能するのかわかりませんが、外付けのスピーカーを装備してアルピーヌらしいエキゾーストを鳴らしてくれるのだとか。ギミックと知っていても、エキサイティングな走りと同時に聞こえたら、そりゃ胸躍るってものでしょう。
当初はワンメイクラリーを開催するとアナウンスされていましたが、FIAがEVラリーのエントリーレギュレーション(eRally5)を制定したこともあり、選手権での活躍も大いに期待できそうです。
2)ヒュンダイ・コナEVラリー
EVのチューニングを積極的に進めているヒュンダイ。コナEVはオーストラリアのパートナーとともに開発した4WDのWRCマシンさながらの出来栄え。それもそのはず、ニュージーランド出身のWRCドライバーであるヘイデン・パッドンが全面協力したとのことで、実戦的なカスタマイズがそこかしこに見て取れます。
搭載バッテリーは23kWhから54kWhに増量され、3基のモーターは805馬力(600kW)の最大出力を誇ります。また、モーターが2基となるラリー仕様車もあり、こちらは537馬力(400 kW)に設定され、ステージを完走できる電費を稼ぐのではないでしょうか。
なお、コナEVラリーはオーストラリア国内のヒルクライム競技などに参戦しており、すでに勝ち星を挙げているとのこと。ドライバーのパッドンは、「4輪それぞれの電力供給を調整できるため、グラベルではこれまで運転したなかで最高のラリーカー」とべた褒め。一方で、「車内が静かすぎてラリードライブの興奮がイマイチ」と、それいっちゃダメ的な発言もしています(笑)。