
この記事をまとめると
■ザガートは2007年に「フェラーリ599GTZニッビオ・ザガート」を発表した
■ベースとなったクルマはフェラーリが2006年に発表した599GTBフィオラノだ
■2007年から2014年までの間でわずか合計9台の599GTZニッビオが製作された
偉大なふたつの伝統をひとつにした価値のあるモデル
ウーゴ・ザガートによって、1919年にイタリアのミラノに創立されたカロッツェリア・ザガートの名は、カーエンスージアストには広く知られているところだ。デザインの美しさだけではなく、航空機の機体設計技術を採り入れることで、軽量でかつ優れたエアロダイナミクスを実現したザガート製のボディは、多くのメーカーから高く評価され、これまでにさまざまな作品が生み出されてきた。
そのザガートが2007年に発表したのが、ここで紹介する「フェラーリ599GTZニッビオ・ザガート」だ。
ザガートはそれ以前にもフェラーリ575Mマラネロをベースに、「フェラーリ575GTZ」とネーミングされたモデルを2台製作しているが(ちなみにそれはいずれも日本のカスタマーからのオーダー(1台はガンメタリックとシルバーのツートーン、もう1台はブラックのボディカラーで仕上げられていた)によるもので、599GTZニッビオ・ザガートは、それに続くフェラーリ・ベースのモデルとなる。
ドナーカーは、その名前からも容易に想像できるように、フェラーリが2006年に発表した599GTBフィオラノだ。ピニンファリーナのジェイソン・カストリオータ、そして後にマクラーレンへと移籍するフェラーリのフランク・ステフェンソンによってデザインされたボディは、前作の575Mマラネロから一転して、シャープなライン構成によってスパルタンな印象へと変化したが、それは同時に当時最高水準にあるエアロダイナミクスを誇るものでもあった。
だが、フェラーリのカスタマーのなかには、それをさらに独自のスタイルへと変貌させたいという願望をもつ者がいたのである。そしてこの願望は、再びフェラーリとザガートのコラボレーションを生み出すことになる。