ザガートが大胆にイジったフェラーリの価値がヤバい! 伝統×伝統が生んだ「フェラーリ599GTZニッビオ・ザガート」 (2/2ページ)

継承されてきた伝統がディティールに落とし込まれている

 ザガートでの、数カ月にも及ぶ開発期間を経たのちに姿を現した599GTZニッビオは、フェラーリとザガートの両方の伝統を体現した、じつに大胆なスタイルをもつモデルに仕上げられていた。フロントには楕円形の格子グリルと大型のエアインテークが配置されているが、それは1950年代初頭のフェラーリのレーシングカーを彷彿させるもの。

 一方で、リヤの造形は極めて現代的なフィニッシュで、ここには599GTZニッビオのボディデザインがもつ先進性が強く表現されている。ザガート・デザインの代名詞ともいえるダブルバブルルーフを始め、同社の作品を長年にわたって特徴づけてきた数々のディテールを継承していることも見逃せない。

 結果、599GTZニッビオのボディからは、オリジナルのフェラーリ588GTBフィオラノのデザイン要素を認識することは困難になった。ちなみにこのボディは軽量なカーボンファイバーで成型されており、それもまたエアロダイナミクスの向上とともに、運動性能を高めるために大いに貢献している。

 ザガートでは、2007年から2014年までの間に、9台の599GTZニッビオが製作されが、そのうち7台はクーペ、2台はスパイダーだった。ちなみに今回、RMサザビーズのオークションに出品された2013年製作の599GTZニッビオは、2009年式の599GTBフィオラノをドナーカーとしたもの。オドメーターには2万5000kmという数字が刻まれているが、ザガートによるボディワークと同時に車両全体のメンテナンスも行われ、そのあとの走行距離は200kmにも満たないという。

 RMサザビーズは、このオークションの結果を明らかにしていないが、仮に売買が成立したとするならば、その価格は相当に高額なものとなったことは間違いないだろう。フェラーリとザガートのコラボレーションは、それほどに価値のあるものなのだから。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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