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最新が最良……とかいうくせになんで空冷ファンだらけ? ポルシェ911の謎! (2/2ページ)

最新が最良……とかいうくせになんで空冷ファンだらけ? ポルシェ911の謎!

この記事をまとめると

■水冷化されてから30年が経過しているが911の空冷モデルは絶大な人気を誇る

■不便であってもそれでも乗りたいと語るオーナーが考える空冷911の魅力を聞いた

■値段も維持費も高騰するなかでも人気が衰えない理由を考証した

どうして911好きは空冷にこだわるのか?

 ポルシェ911のエンジンが水冷に置き換わって間もなく30年。すでに水冷になってから996・997・991・992と、4モデルが登場しており、現在に至っています。同時に空冷エンジンを搭載した最後のモデルとなった「993」をはじめ、ほとんどの個体が生産から30年以上の年月が経過しています。

 ひと昔もふた昔も前のクルマとなった空冷エンジンを搭載した911がいまだに根強い人気を誇るのはなぜでしょうか。今回はなぜ911好きは空冷にこだわる人が多いのか? 歴代空冷モデルを振り返りながら空冷人気を考証してみました。

空冷エンジンを搭載した911は大きくわけて4モデル

 細かな仕様変更は割愛しますが、空冷エンジンを搭載した911は大きく4つのモデルに分けられます。

 1963年に開催されたフランクフルトモーターショーにおいてデビューし、翌1964年から販売が開始されたモデルが「901型」であり、日本では「ナローポルシェ」と呼ばれているモデルです。モデルライフの途中でホイールベースが延長され、エンジンの排気量アップに伴う出力も向上するなど、1973年に生産が終了するまでにさまざまな仕様が存在します。

 レース参戦のためのホモロゲーションモデルとして限定販売された「カレラRS2.7」は、901型のひとつの到達点といえるクルマです。

 そして1974年に「930型」へとフルモデルチェンジ。北米市場の安全基準や排ガス規制に対応するべく仕様変更が行われ、初期モデルでは規制をクリアしつつ性能を維持させるというジレンマに苦しみます。この「930型」は、歴代の911においてもっとも生産期間が長く、また「911ターボ」がデビューしたのもこのモデルです。

 さらに現在でも911のモデル名に用いられている「カレラ」がデビューしたのも1984年モデルからであり、クーペ・タルガ・カブリオレのバリエーションが定着したのもこの時代からです。

 1989年には惜しまれつつ引退した930型に代わり「964型」がデビューします。じつに80%の部品を入れ替えたといわれる964型は、パワーステアリングやABSが標準装備され、のちにエアバッグも標準装備となるなど、一気に近代化されます。初のカタログモデルとなる4輪駆動の「カレラ4」を皮切りに、1990年には後輪駆動モデルの「カレラ2」がデビューします。このカレラ2には「ティプトロニック」と呼ばれるセミオートマが選べるようになり、一気に裾野が広がります。

 その一方で、およそ20年振りに「カレラRS」が復活し、このモデルをベースにしたワンメイクレース「カレラカップ」が世界各地で開催されるようになります。

 その後、わずか5年という短いサイクルで1994年に「993型」へとフルモデルチェンジが行われます。最大の変更点はリヤサスペンションがマルチリンクとなったほか、ヘッドライトの形状が大きく変更されています。993型からターボが4輪駆動となり、後輪駆動のターボは「GT2」として市販化され、レーシングバージョンはル・マン24時間耐久レースなどでも活躍します。

 993型はデビュー当時から「これが最後の空冷911になるかもしれない」と噂され、それが現実となります。その結果、930の時代と同様に駆け込み需要が相次ぎ、いまだに新車当時から所有しているオーナーも実在します。

 こうして振りかえってみると、空冷モデルが全4世代、水冷モデルも全4世代ということで、モデルサイクルでいうならば現時点で両車が並んだことを意味します。992型の後期モデルではカレラ系だけでなく、ターボもハイブリッド(マイルドハイブリッド)エンジンとなりましたが、水冷モデルとしては5世代目となる次期911がどの程度幅を利かせてくるのでしょうか。

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