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【試乗】走りがよくて使い勝手がよくて女性人気も高い……って非の打ち所なし!? ヒョンデ・インスターで横浜から大阪まで約500kmを走ってわかったこと【後編】 (1/2ページ)

【試乗】走りがよくて使い勝手がよくて女性人気も高い……って非の打ち所なし!? ヒョンデ・インスターで横浜から大阪まで約500kmを走ってわかったこと【後編】

この記事をまとめると

■ヒョンデ・インスターで横浜〜大阪間約500kmのロングドライブを実施

■乗り心地や動力性能などインスターの期待以上の出来ばえのよさに脅威すら感じた

■後日にあらためて借り出したら日常での使い勝手もかなりよいことがわかった

日本にジャストなサイズと快適性に驚き

 横浜をスタートして大阪までのおよそ500kmという長距離を、ヒョンデ・インスターで走ってみようということになった。

 走りはじめて最初に実感したのは、やっぱりサイズのよさだ。東名〜新東名の高速道路へと向かう途中、Apple CarPlayで繋いだナビアプリの案内で細い路地やセンターラインがあることに疑問を感じるような片側一車線を通過したりもしたのだけど、いやいや余裕っしょ! な心もちだ。

 日本の道路は、まだクルマが5ナンバーサイズだった時代にできたものが大半。平場の有料駐車場はできる限りたくさん詰め込んで停めさせてアガリを得たいわけだから、多くは1台あたりのスペースがギチギチ。ストレスなく走れて停められるこのサイズって本当にいいな、と強く強く感じさせられるのだ。

 といって、小さいから非力っていうわけでもない。試乗車は、おそらく選ぶ人がもっとも多いだろう最上級グレードの「ラウンジ」で、バッテリー容量は49kWh、駆動モーターの最高出力は115馬力で最大トルクは147Nmだ。パワーとトルクの数値は、それだけを見ると豊かであるようには思えない。が、インスターはいうまでもなくBEVである。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間にしっかりとトルクが立ち上がり、滑らかに素早く速度を稼ぎ出していくというモーター駆動の利点はもちろんしっかりと活きていて、かったるさや眠たさみたいなものは微塵もない。

 BEVのなかではパワーもトルクもあきらかに小さいほうというのは確かだけど、とりわけ低中速域においては同じくらいの数値をもつ内燃エンジンのクルマの1.5倍くらいあるんじゃないか? と感じられるのもBEVならでは。軽やかな走りっぷりが気もちいい。

 さらに、いかにも「BEVでござい!」みたいに大きなトルクを急に立ち上がらせるような性格は与えられておらず、とても自然に穏やかに──だけど不足のない──力を発揮していくタイプだから、アクセルペダルによるトルクデリバリーのコントロールがとてもやりやすい。めちゃめちゃ扱いやすいのだ。街なかをはじめとするいわゆる日常領域において、インスターは十分に満足も納得もできてしまうだけの実力を見せてくれた。

 一般道を走っていて、もうひとつ感心したことがあった。インスターには──というよりヒョンデのBEVには──パドルで回生の利き具合を切り替えられる仕組みが備わっている。そこでワンペダルドライブを選ぶこともできるのだが、もうひとつ、「オート」を選ぶこともできる。それが優れモノだったのだ。走行中にアクセルペダルを戻すと、前を走るクルマとの距離やその時点の速度、道の傾斜度などから瞬時に身の振り方を判断して、回生ゼロ=コースティングから設定上の回生マックスの間で回生の利き具合を自動的に調節してくれるのだ。

 しかも、交差点などでは前のクルマに合わせて速度を下げ、停止まで担ってくれる。回生の減速具合についてはときどき減速のタイミングや強弱に関してちょっと気が合わないことがと感じることがないわけじゃなかったけど、速度の削り方それ自体はかなり自然だし正確で、不安感などなく、便利なうえに安楽。僕は基本、可能であればワンペダルで走らせたいクチなのだけど、ものすごく使えるヤツだし新鮮だったので、少し試してみるぐらいのつもりだったのに、結構多用しちゃったりした。

 その回生オート、高速道路に滑り込んだら、さらに「有効なんじゃないか?」という想いが強くなった。クルージング中には意図せず前を走るクルマに追いつきそうになることもあるわけだけど、そうしたときに右足を緩めると、予想よりもだいぶ長い間コースティング状態をキープしてくれる。僕がワンペダルで走らせてるのとは比較にならないぐらい。

 それっておそらく「結構電費に効くんじゃないか?」と思うのだ。厳密にはもしかしたらワンペダルで回生を利用して電気を取り戻すほうが数値はいいのかもしれないし、そのあたりは正しく比較データを取るのが困難だからトライしなかったけど、感覚的には回生オートでクルージングしてるときのほうが消費が少なかったような気がする。

 仮に“気”だけだったとしても、スルスル滑っていく感覚が気もちに効く。それで油断したらただの間抜けだけど、気分がいいっていうのはとくにロングを走るときには大切だと思う。

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