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モーター+エンジンの単純計算じゃない! ハイブリッド車の「システム出力」ってなに? (2/2ページ)

モーター+エンジンの単純計算じゃない! ハイブリッド車の「システム出力」ってなに?

この記事をまとめると

■ハイブリッド車の諸元表には「システム出力」という単語が並ぶ

■システム出力とはエンジンとモーターの合成出力を指す

■内燃機関車とハイブリッド車では同じ馬力だとしても出力特性が別物となる

システム出力ってなんだ?

 ハイブリッド車の出力表記で「システム出力」という言葉を目にしたことはないだろうか。とはいえ、ハイブリッド車でシステムという言葉が使われているのだから、エンジンとモーターの合成出力ではないか、と推測はつく。

 これは実際そのとおりで、エンジンとモーターの出力を合わせた出力表記なのだが、この表記はエンジン出力値やトルク値と違い、公的に定められた基準ではないのである。いい換えれば、メーカーが自社製品の性能表記に、その車両のHVシステムに応じた合成出力で示したものである。

 では、なぜこうした表記になったのかを考えてみよう。

 ハイブリッド車にはいくつかの方式がある。このシステム出力の表記が使われるモデルは、エンジンで走行、電気モーターで走行、さらにエンジンとモーターの合成出力で走行するモード(場面)が考えられる。もちろん、エンジン単体、電気モーター単体での性能表記はあるが、たとえばエンジン出力が90馬力、電気モーター出力が80馬力の場合、システム出力が170馬力と表記されることはない。だいたい110馬力とか120馬力といった性能表記になる例が多く、これがハイブリッドシステムの働かせ方に従ったものだということに気付く。

 システム出力は、公的な表記基準がなく、メーカーの基準値(というよりHVシステムの働かせ方を決めているのは個々のメーカー)となるのは当然といえば当然。そもそも、市販ハイブリッド車のほとんどは、環境性能(=燃費性能)を前提としたモデルであり、熱効率に優れた内燃機関を使いながら、内燃機関の不得意とする領域をモーター動力でアシストしようという考え方で作られている。そのモーター動力の電源は、エンジンで発電した電力、回生によって蓄えられた電力を振り向けているから、環境性能(燃費性能)が飛躍的に高いレベルとなるのも当然である。

 ちなみに、このシステム出力は、走行動力にエンジン出力とモーター出力のふたつを利用するシリーズ・パラレル方式のみで見られる表記で、たとえば内燃機関はモーター電力の発電用のみとなるシリーズ方式やエンジン動力を主体とするパラレル方式では、目にすることのない表記である。

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