
この記事をまとめると
■ホンダが生んだ隠れたホットハッチが2代目シティだ
■ターボもVTECもない1.3リッターエンジンで100馬力を実現していた
■2代目シティは軽量ボディを武器にジムカーナで無双した
偉大な初代とシビックの影に隠れた名車
ホンダのホットハッチ、というと多くの人がシビックを思い浮かべるかもしれないが、知る人ぞ知る名ホットハッチはほかにも存在していた。それが1986年に登場した2代目シティのマイナーチェンジ後のモデルである。
シティというとトールボーイという背の高いユニークなスタイルと、ターボやカブリオレ、荷台に収まるモトコンポなどが用意されていた初代モデルの印象が強いが、1986年10月に登場した2代目モデルは一転してワイド&ローなフォルムに大きくキャラクターをチェンジしていた。
とはいえ1.2リッタークラスのエンジンを搭載する実用車という根本は変わっておらず、新たに搭載されたD12A型エンジンは、当時国産車としては初の1カム16バルブのSOHCエンジンとなっていた。
そして1988年10月に実施されたマイナーチェンジでは、主力エンジンの排気量が1.3リッターに拡大され、電子制御キャブレターのほか、PGM-FI仕様も用意(CR-i/CZ-i)されることとなる。
このPGM-FI仕様のD13C型エンジンは、ターボやVTECなどの飛び道具的な要素をもたないSOHCエンジンであったが、ノーマル状態で100馬力/11.6kg-mというスベックを誇っており、750kgという軽量ボディを軽々と加速させてくれたのだ。
また、タイヤを四隅に配し、全高の低いディメンションはモータースポーツに最適となっており、さまざまなカテゴリーで活躍を見せたが、なかでもジムカーナでは無類の強さを発揮。クラス上位をシティが独占する姿をしばしば見かけることができたほどだったのである。
このように、魅力的なスペックを擁しながらも、100万円前後で購入(CR-i)することができた2代目シティだったが、主力となる量販グレードにおいてはあまりにプレーンすぎるルックスが災いし、モータースポーツユース以外のユーザーにとっては、ターボモデルやエアロ仕様も存在しなかったことで人気モデルになることは叶わず、この代を最後に国内から「シティ」という名前をもつモデルは消滅してしまった。
なお、シティの名前は東南アジアや中国などでコンパクトセダンとして使用され続けており、通算4代目モデルがフィットアリアとして、通算6代目がグレイスとして日本でも販売されており、現在は7代目となるモデルが販売中となっている。
