
この記事をまとめると
■キャデラックはかつてプレミアムセダン「セビル」を販売していた
■2代目よりFF駆動としており最終モデルの5代目ではスペックの高さを売りにしていた
■右ハンドルも用意され日本市場を意識した仕様も設定されていた
日本のプレミアム市場に挑戦したアメ車
アンダルシア、サザンオールスターズ、そして青木 功と聞いてピンときた方とはいいお友達になれそうです。いずれも、キャデラック・セビル・ツーリング・セダン(STS)にちなんだワードで、アンダルシアの都市「セビリア」を車名にアレンジして、サザンの桑田佳祐、そしてプロゴルファーの青木 功はともにコマーシャルに出演。とにかく、いい時代に登場したゴージャスなアメ車らしく、その思い出はいつまでたってもキラキラし続けているのです。
そもそも、キャデラック・セビルの初代は1975年とオイルショックのあとであり、アメ車の輝きがいささか薄れ始めたころ。GMフリートのトップレンジを飾るにふさわしいクルマを求めて開発されたとされています。欧米のライバル、すなわちメルセデス・ベンツやジャガーといったメイクスを意識して、ボディサイズがほんの少し小さくなる一方で、世界初とか世界で唯一といったテクノロジーを搭載するという付加価値戦略がとられた次第。
その流れが頂点、かつ最終地点に到達したといえるのが、1997年に登場した5代目セビルでした(発売は1998年1月スタート、日本では1999年に導入)先代モデルがアメリカはもちろん、日本でも大成功を収めていたこともあって、フルモデルチェンジとはいえ、いわゆるビッグマイナーチェンジに等しいものだったかと。
搭載エンジンはノーススターシステムと呼ばれる4.6リッターのV8。当初はキャデラック・アランテという、これまたGMの野心作に積まれていたもので、STSでは305馬力/6000rpm、40.8kg-m/4400rpm、装備がいくつかオミットされたSLS(セビル・ラグジュアリー・セダン)は279馬力/5600rpm、41.5kg-m/4000rpmと中低速トルクを重んじたセッティング。ここまでなら、普通のアメリカンV8とさして変わりはありませんが、ノーススターはエンジン・トランスミッション・サスペンション・ブレーキシステムを車載コンピュータが統合制御するという当時としては先進的システムだったのです。
先進性でいえば、キャメルモードというシリンダーを互い違いに止めて、その休止状態のシリンダーを介して空気を循環させることで、ほかのエンジン部分を空冷するなんてこともやってます。冷却水がまったくなくてもオーバーヒートしないのだ! と高らかに説明されていましたっけ。
