
この記事をまとめると
■スバルが300台限定のBRZ STI Sport TYPE RAを発表した
■完全バランスどりしたエンジンとS耐参戦車両由来のパーツを採用したスポーツモデル
■本気で走り込む人にこそ乗ってもらいたい1台となっている
その気になればS耐マシンのフルコピーだってできる
限定300台のBRZ特別仕様車「STI Sport TYPE RA」が登場した。「RA=Record Attempt(記録への挑戦)」を意味するそのネーミングは、スバリストにとってお馴染みの名前ではあるが、今回はこれから何かに挑戦するのではなく、これまでスーパー耐久に挑戦していたBRZのノウハウをフィードバックしたという意味が込められる。
まずエンジンは極限まで完全バランスに近づけることを目的としたFA24バランスドエンジンを搭載。とくに気を使ったクランクシャフトはダイナミックバランス調整を行うことで、回転バランス公差80%低減! EJ20時代には同様のことを行って85%低減と謳っていたが、これはそもそもの精度がよくなったからとのこと。このほかコンロッド、ピストン、フライホイール、クラッチカバーも公差をそれぞれ低減した。
また、エンジンコントロールユニットも変更しレブシンク(オートブリッピング)を与え、ダウンシフトでヒール&トゥいらずに。ちなみに2速から1速はギヤ比が離れているため不可。飛ばしシフトもできない。さらにアクセルを戻さずにシフトアップを可能としたフラットシフトも搭載している。
加えてデフカバーはカップカーベーシックで採用していた前側の鋳鉄部分が冷却フィン付きになった。プロペラシャフト直後の部分がもっとも熱くなるための対策だ。リヤ側のカバー部分は変わらない。
話は脱線するが、みなさまはフロアジャッキでジャッキアップする際、どこにお皿をかけるだろう? 正解は前側の鋳鉄部分にすべてをかけること。カバーと鋳鉄部分をまたぐようにお皿をかけるとシールが痛みオイル漏れをする可能性があるらしいのでやらないでほしいと技術者はいっていた。そんなことを考えず、まんまと鋳鉄部分とカバー部をまたぐようにジャッキアップしていた自分がお恥ずかしい……。
話は戻って、これらすべてはS耐車にそのまま搭載されている。もちろんレースカーはたとえばラム圧吸気システムなどを使い、出力281馬力、310Nmを誇るし、デフにはクーラーも搭載されている。でも、根っこの部分は共通というところが興味深い。逆にいえばその気になればS耐車並みの仕様へと引き上げることだって可能ということだ。
足まわりはSTI Sportが採用する日立アステモのSFRDではなく、ZF製のダンパーに変更したところが目新しい。そもそもは乗り心地の滑らかさを狙っていたが、今回のRAはリニアさを追求し、バネ上をより積極的に抑えて行くことを狙っているらしい。これをやると微小操舵角の応答の鈍さが逆に出てくるようで、そこを補完するためにSTI十八番といえるフレキシブルVバーやドロースティフナーパーツを搭載したそうだ。
エアロやホイールは既存のSTI製品を組み合わせて搭載。ドライカーボンリヤスポイラーは寝かせた角度を推奨しセット。立てた状態にもセット変更可能だが、その穴位置には外せる蓋がされている。
