
この記事をまとめると
■NASAが次世代のパンクしないタイヤとして開発したのがニチノールタイヤだ
■ニチノールタイヤは形状記憶と弾性をもつニッケルとチタンの化合物を利用している
■日本のブリヂストンもエアレスタイヤの公道実験を行っている
パンクしない次世代タイヤの実用化はもう目の前
タイヤにとってパンクや空気漏れは永遠の課題かもしれない。
一方で、パンクしないタイヤの開発は長年に渡り続けられている。身近な例では、ランフラットタイヤがそれに近い存在で、パンクしてもそのまま走行し続けられるつくりになっている。手法はいくつかあるが、市販されているのは、タイヤ側面のゴムを厚くし、パンクなどで空気が漏れても、側面の厚いゴムの弾力で走り続けられる。
それとは別に、次世代のパンクしないタイヤとして、米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)が開発したのが、ニチノールタイヤと呼ばれるものだ。
これは、形状記憶と弾性をもつ特徴があるニッケルとチタンの化合物で、それを針金状にしてホイールに組み付け、表面にゴムを用いたのがニチノールタイヤだ。これであれば、内側に空気を充填しなくても、金属がもつ弾力で既存のタイヤに近い格好や機能につくることができる。
接地(トレッド)面に使われるゴムは、摩耗したら交換しなければならないが、パンクせず、空気漏れがないのは、クルマのみならず自転車なども含めあらゆる乗り物にとって理想的だ。米国ではクラウドファンディングが行われ、自転車用として購入できるという。ただし、自転車の前後2本分で500ドル(約7万5000円)と高価だ。
世界のタイヤメーカーも、パンクしないタイヤへの関心は高い。
たとえば日本のブリヂストンは、エアフリーというタイヤを開発している。これは、タイヤの基本骨格に弾力のある素材を使い、接地面にはゴムを使う。ニチノールタイヤと同じように、ゴムが摩耗したら交換する。
ブリヂストンは2008年からエアフリーの開発をはじめ、現在では第3世代へ進化し、2024年から公道での実証実験をはじめている。
ニチノールタイヤは、NASAが開発しているだけに、火星探査用として開発がはじまった経緯があり、空気のない宇宙では空気を使わないタイヤが不可欠だ。ブリヂストンのエアフリーも、月面探査車両が視野にある。
とはいえ、地球上においても、自動運転のクルマが走るようになれば、パンクしないタイヤの装着が不可欠になる。当面は、既存のランフラットタイヤでもよいだろうが、運転免許証をもたない人や高齢者、あるいは障害のある人たちも利用できる万人の移動手段として自動運転車が普及する段階では、パンクしたから走れなくなり、タイヤ交換をするといったことは許されないだろう。
ニチノールタイヤにしてもエアフリーにしても、パンクしないタイヤの実用化は、未来や宇宙の夢物語ではなく、すでに動きはじめた自動運転車両の普及において、欠くことのできないタイヤ技術といえる。
