
この記事をまとめると
■クルマの世界ではあれやこれやとカスタムする文化が根付いている
■より楽しく走れるようにしたり他人と差別化したいがために手を出す人が多い
■若いころカスタムを楽しんでいた人が再び戻ってくるリターン組も最近では増えている
なぜクルマをカスタムするのか
だいぶ前のことですが、サーキットのラップタイムをコンマ1秒でも縮めたいと、ロードスターのシフトレバーをショート化、加えてシフトノブの軽量化を目指してチタンに変更したことがありました。結果は惨憺たるもので、タイムの短縮どころか回転数を合わせたとてシフトフィールが最悪で、すぐさま純正に戻す破目に。このように、メーカーの設計は最善のはずとわかっていても、いじってしまう方はあとを絶ちません。そこにはどんな心理や、モヤモヤがあるのか探ってみました。
マツダ・ロードスター(NA)のセンターコンソール画像はこちら
●もっともっと速くしたい
冒頭にご紹介したとおり、改造は乗り物好きのサガに違いありません。たいていは乗り心地をよくしたいとかではなく、むしろ「乗り心地が悪くなってもかまわない」からバネレートを上げたり、タイヤの偏平率を上げたりするわけです。
当然、メーカーが設定したベストバランスを崩し、乗り心地どころか操安性や耐久性まで悪影響を及ぼすのですが「メーカーは万人向けセッティングでしょうが」などと、見当違いな理屈を並べてしまうのもクルマ好きの悪いクセかもしれません。
とはいえ、そうしたクセは強オーバーステアでイン側のタイヤバリアに突っ込むなど、筆者と同じく苦い思いを何度か繰り返せば治るもの。痛い思いをしてまでも改造を繰り返していくミッドナイトレーサー界隈も多くいますが、彼らはジャンキーを超越したマッドサイエンティストの領域。すべてを悟って、カスタムファクトリーでも開業してみるといいかもしれません。
●誰ともカブりたくない
自分だけの愛車、という意識が高まると、車種は同じだったとして自分だけのクルマに仕上げたいという動物的な本能が働くタイプもいるようです。ちょっと前なら、エアロパーツを単一メーカーに統一することなく「フロントスポイラーはヴェイルサイド、リヤスポはトップシークレットにしてみた」といった変化球もありました。
また、エアロパーツでスタイルを変更したあとは推しキャラでもって痛車に仕上げるといったケースもあります。ここでも、キャラでもって主張するのはもちろん、どのシーン、どの巻、どのバージョンを選ぶかという「カブるの絶対NG主義」も散見できます。
ちなみに、シーンやバージョンを見事にいい当てられてしまうのは主義者のなかでは敗北に等しいようで、翌日には別のキャラで痛くなっていたりと、なかなか厳しい世界のようです。
ともあれ、オレだけの1台に「メーカーのご指図無用」というわけで、世にも不思議なクルマが仕上がるという寸法です。
