
この記事をまとめると
■日本の運送会社などが外国人ドライバーを雇用すると発表し話題に
■海外と日本では交通ルールやマナーが異なるのでリスクがある
■今後は日本での常識が公道で通用しなくなるケースが増えるかもしれない
外国人が日本で運転することに対する不安
大手宅配業者が最近、ベトナム人をトラック運転士として500人雇用すると発表し話題となった。運転教育だけではなく日本語研修など入念な育成期間を設けるとのことだが、いまの日本社会では、この報道について不安に思う人も多いようである。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、2025年4月に不法移民政策に関する3本の大統領令に署名しているのだが、そのなかのひとつが商用トラック運転士に、「一定の英語能力を要件とする」というものがある。広大なアメリカをクルマで運転していると、18ホイーラーとも呼ばれる大型トレーラートラックが、フリーウェイをたくさん走っている光景を現地や映像で見た人も多いはず。
アメリカではすでに、メキシコなど中南米からの出稼ぎトラック運転士が多数活躍している。地元の知人は、「出稼ぎ運転士が増えてからトラックの絡む事故が増えてきた」とかつて語っていた。トラクターヘッドが貨物車をけん引する大型トレーラートラックが、なんらかの理由で急制動をかけ、連節部で折れ曲がるジャックナイフ現象を起こし横転してしまうような事故は、筆者が滞在するような短期間でも日常茶飯事のように起こっているほどだ。
たまたまなのか、2025年9月に南カリフォルニアを2週間訪れたときには、たびたび大型トレーラートラックの関係する大規模な事故に遭遇した。日本の高速道路よりロサンゼルス地域の中心市街地からちょっと離れたような路線でも、日本よりはるかに速度レンジが高いこともあってか、トラック同士で合流時に衝突した事故では、関連した2台ともが木っ端みじん的な状態となっていた。
この事故自体が出稼ぎ運転士によるものなのかはわからないが、トランプ大統領が不法移民対策のなかでトラック運転士に言及するところをみると、単なる出稼ぎだけではなく、不法にアメリカに入国してトラックを運転しているといったケースもあるものと考えられ、アメリカの道路環境を理解できないまま、過酷な労働条件も付加されるのかもしれないが、結果的に事故多発となっているのかもしれない。
日本国内では、一時大騒ぎとなった安易な外免切り替え問題は、制度の厳格化で改善に向かっているようだが、インバウンドがレンタカーを運転するなど、日本の道路でも今後は外国人が運転する車両が、いまよりもさらに増えることは間違いないだろう。
日本の交通ルールやマナーに、ほとんど興味を持たずに運転するインバウンドも目立つようだが、だからといって日本のルールやマナーを座学で教えたところで、解決にはほど遠いものと考えている。
