
この記事をまとめると
■群馬県太田市で「次世代自動車試乗会」を開催
■メーカーではなく行政が主体となって開催している点がポイントだ
■ハイブリッドやEVを主役とした各社の電動車が集結した
市が主催する試乗会に潜入!
日本に住んでいる人であれば、全国に47都道府県があることくらいはご存じだろう。では、「市町村の数は?」と聞かれて答えられるだろうか? 聞いておいてなんだが、筆者は無理。「だいたい1500〜2000くらい?」といった、かなり大雑把な数字しか出てこない。
気になって調べてみると、1718(市792、町743、村183)ほどあるそうで、北方領土の村を含めると1724になるそうだ。予想と比較すれば、まぁまぁ惜しい数字か。
「なんでクルマの媒体が急に地理の問題出してんの?」といわれそうなので、無駄話はその辺にして本題に。日本には先ほど述べたように、1700以上もの市町村があるのだが、そのなかで2025年10月に、とある市が主体となって行う、ちょっと変わった”試乗会”が行われたので、その模様をお届けする……というのが今回のメインテーマ。
舞台は群馬県太田市にある「道の駅おおた」。そう。スバリストでなくともクルマ好きにとってはお馴染みの、スバルの車両工場を有する都市だ。最近ではミシュランの日本法人も本社もここ太田市に移したことで話題になった。筆者としても、県は違うがこの近くの小中学校に通っていたので、社会科見学ではスバルの工場を訪れた。私生活でもウロチョロしているので、ほぼ地元のようなものである。
そこで行われていたのが、その名もズバリ「次世代自動車試乗会」。あまりに直球な「次世代」と謳うこの試乗会。市の担当者に聞けば「ここでいう次世代というのは、いわゆる電動車を軸に集めた試乗会です」と語る。
しかもこのイベント、いきなり始まったような新興イベントではなく、なんと平成29年から9年間も開催しているそう。
狙いを聞いてみると、「環境省が掲げる『COOL CHOICE』という新国民運動に協力する形で行ってます。これは主に、気候変動対策及び温室効果ガス削減をテーマにした2030年まで継続する活動ですね」とのこと。さらに太田市の担当者は、「太田市はスバルやミシュランと、クルマ関係の企業をいくつか有しています。サプライヤーも多いです。なので今後は、次世代自動車の街として推していけたら……という狙いもあります。メーカーとも協力して、次世代自動車の一部はメイド・イン・ジャパンではなく、メイド・イン・グンマとして広めていきたいですね」と続けた。
「あと、このイベントは乗ってもらって初めて電動車の魅力がわかると思うんです。なので、道の駅といういろいろな人が使うオープンな場所を主とすることで、多くの人に体験してもらいたいという考えもあります。最初は3、4社程度、来場者も30人前後でしたが、2025年からは10社ほど集め、参加者のキャパも60人ほどと倍増して準備しています」と、意気込む。
そんな太田市の狙いどおりか、道の駅内の受付にはあれよこれよと人が集まり、続々と枠が埋まっていく。チラ見したところ、ホンダとBYDの2社がとくに人気であった。BYDに関しては群馬にディーラーがないのも影響しているようだ。
ちなみに、「これほどの会社を、行政がどのように集めたのか?」と聞くと、「今まで参加してくださった企業はそのまま来てくれたのですが、今年よりお願いしたメーカーは、会社HPのお客様センターに電話して繋いでもらったりと、地味な戦術で集めたんです(笑)。しかし、どのメーカーさんも我々の考えや想いに賛同してくださり、無事このような形になりました」とのこと。
とはいえ課題もあるそう。次世代自動車と聞けばパッと思い付くEVやPHEVは、購入時の補助金が大きなメリット。しかし、よく我々自動車メディアでいう「国と自治体の補助金を入れたら100万円近く安くなる!」といったこの常套句。これは東京都の例であって、国から出る補助金は、枠内であれば誰でも貰えるが、行政から出る残りの補助金は購入者の住む自治体次第。なんと0円という都市も珍しくないという。そう。群馬県も類に漏れず……。
太田市の担当者は、「群馬県には補助金を出すように交渉はしているんですけどね。スバルのEVは群馬の工場でも作られる予定ですし、なおのことやるべきだと……」と、肩を落とす。車両価格が補助金ありきの設定なのもどうかと個人的には思っているが、現状はそうするしかない以上、ぜひ、いい方向に話が進むよう期待したい。
