この記事をまとめると
■トヨタが「GR GT」と「GR GT3」を発表
■2027年の販売を目標としているハイブリッドスポーツカーだ
■BEVとしてレクサスよりLFAコンセプトも発表された
GR GTの中身を大解剖
今回は、12月5日にトヨタ東富士研究所で極秘裏（!?）に行われた発表会の様子をお届けします。
「ウーブン・シティに集結せよ」という謎の招集を受けて現地に向かうと……そこで待っていたのは、トヨタが「スポーツカーの火を絶やさない」という執念で作り上げた、次世代のマシンたちでした。なかでも1番の注目株は新型スーパースポーツ「GR GT」。どこよりもわかりやすく解説します。
なぜ今”FR”なのか？ デザインの秘密
ステージに現れた「GR GT」を見て、まず思ったのは「形がオーセンティックでとにかく美しい！」ということ。 長いボンネットに、キュッと引き締まったお尻。往年のトヨタ2000GTやレクサスLFAを彷彿とさせる、スポーツカーの黄金比をもったシルエットです。
でも、最近のスーパーカーってエンジンを背中（ミッドシップ）に積むのが主流ですよね？ なぜトヨタはあえてエンジンを前（フロント）に置いたのでしょうか？ エンジニアに直撃したところ、理由は以下の3つ、超シンプルでした。
・荷物も積めて、人も乗れる（2＋2）スーパーカーにしたいから
・FRのほうが、操る楽しさ（重量配分）のバランスがよいから
・トヨタ2000GTからLFAと受け継いだ伝統的なFRパッケージ
実際にはフェラーリの上級モデルと同じ考え方ですね。普段使いもできて、サーキットでも速い。そんな大人の余裕を感じさせる1台です。
心臓部は「V8ツインターボ × モーター」のハイブリッド
ここが1番の驚きポイントです。 それが、今の時代になんと新開発の4リッターV8ツインターボを搭載するという点。でも、ただのハイブリッドじゃないんです。
というのも、「ハイブリッド」と聞くと燃費重視のエコカーを想像しがちですが、このクルマは違います。 厳しい排ガス規制をクリアするためにターボのパワーを少し抑えているのですが、そのぶんを電気モーターでと補うという点で、ハイブリッドを活用します。なので、以下のようなメリットがあります。
・エンジン：高回転で気もちいい音を奏でる
・モーター：アクセルを踏んだ瞬間のターボラグ（遅れ）を消す
この2つが合体して、推定650馬力を叩き出すとのこと。まさにドーピング的なモーターの使い方。これをリヤタイヤに直結させることで、異次元の加速を実現しているそうです。
「カーボン」と「アルミ」で武装したボディ
エンジンを前に置いて、ギヤボックスを後ろに置く「トランスアクスル」は、真ん中を通る棒「プロペラシャフト」がものすごい速さで回転するので構造上かなりの振動が出てしまいます。
そこでトヨタが使ったのが「カーボン製の筒（トルクチューブ）」。 アストンマーティンなどの高級車でしか見ないような高価なパーツですが、これを使って振動をピタッと押さえ込んでいるといいます。これぞ「素材の力」です。
さらにボディの骨格は、テスラなどがやっている「巨大一体鋳造（ギガキャスト）」ではなく、 部分的な剛性を高める「中空アルミ鋳造」という、手間の掛かる職人芸のような技術を採用。 「どこでも一体成型すればいいってもんじゃない、場所に合わせて最適な作り方をするんだ」という、トヨタの意地とプライドを、こういうところからも感じます。
