
この記事をまとめると
■フェラーリとアメ車のV8ではそのエキゾーストノートがまったく異なる
■V8にはフラットプレーンとクロスプレーンの2タイプの方式がある
■フェラーリはフラットプレーンを採用しアメ車はクロスプレーンを採用している
同じV8のはずなのになぜフェラーリとアメ車で音が違う?
クルマのエンジンのタイプはいくつもありますが、そのなかでもV型8気筒モデルは、長いクルマの歴史のなかでも重要な足跡をいくつも残してきたエンジンだといっていいでしょう。
そのV8エンジンについての素朴な疑問として、「同じV8タイプのエンジンを搭載しているのに、フェラーリとアメ車ではなんであんなに音が違うの?」という声をちょくちょく耳にします。同じ4気筒モデルでも、直列4気筒と水平対向4気筒で排気音が異なるのはわかる気はしますが、V8は気筒のレイアウト的には同じものです。
ここでは、そんなV8エンジンにまつわる、音の違いがどんな理由で発生するかについて、少し掘り下げていきたいと思います。
同じV型8気筒の何が違う?
V型8気筒エンジンの違いについて説明するには、エンジンの燃焼タイミングについて少し解説しないとなりません。
自動車のエンジンには、一般的に2〜12気筒という多気筒のレイアウトが使われますが、それらのエンジンは、気筒ごとに燃焼のタイミングをずらした構成が採用されているのがほとんどです。
たとえばもっともポピュラーな直列4気筒では、前側から数えて1&4、2&3の気筒がセットになって交互に燃焼しています。これは“1次振動”という、ピストンが燃焼の力で押し下げられる反力がエンジンの振動となることを解消するための方法です。直列4気筒エンジンを横から見て、両脇の1&4が下がると同時に2&3が上昇することでそれぞれの慣性力を打ち消すので、1次振動は理論的にゼロになります。
車体にとって振動は耐久性を落とす大きな要因になり、乗員にとっても歓迎したくないものなので、エンジンの振動を消すためにエンジニアは苦労しています。
さてお題のV8ですが、その直列4気筒のシリンダーセットをそのままもうひとつ用意して、90度の角度になるように組み合わせたものと考えていいでしょう。
V型エンジンは基本的に開いたバンクの同じ位置にある気筒のコンロッドが、クランクシャフトのひとつのピン(軸)を共用する仕組みなので、クランクシャフトだけを見ると、4気筒エンジンと同じ構造で少し長いものといえます。
