
この記事をまとめると
■メーカー純正ハイチューンは性能と信頼性を両立した存在だ
■キャデラックVシリーズは価格競争力も武器にAMGやMと正面から渡り合っている
■現行Vシリーズの各モデルを紹介
アメリカにもメーカー純正ハイパフォーマンスが
湾岸界隈のガチユーザーを除けば、チューニングカーには向かい風が強めな気がします。つまり、故障はもちろん、壊れないまでも購入元のディーラーで整備を断られるのではないかといった不安がつきまといがち。それこそ、AMGやMスポーツといったメーカー純正のハイチューンモデルの存在理由でもあり、オーナーは思う存分アクセルを全開にできるのです。
これは、なにもドイツ車に限ったことではなく、近ごろカッコいいと称賛されまくるキャデラックにも「Vシリーズ」という超速軍団が勢ぞろいしているのです。
キャデラックは、2000年代にノーススターV8エンジンでル・マン24時間レースの制覇を目指しており、サーキットからのリバースエンジニアリングを市販車に活かそうとしたのはこれがスタートとされています。初のVシリーズは2004年のCTS-Vで、これらが第1世代と称され、いまでは第4世代まで拡充し、7モデルをラインアップするに至りました。ここでは人気の高いモデルを中心にご紹介しましょう。
CT5-V ブラックウイング
CT-5、すなわちキャデラックの主力セダンをベースにカスタマイズされたVシリーズきってのハイパワーモデル。ブラックウイングと名付けられたハイエンド仕様は6.2リッターV8エンジンにスーパーチャージャーを追加して、668馬力、659ポンドフィート(約896Nm)までチューンアップされています。
最高速は332km/h、0-60mph加速は3.4秒と、AMGやMスポーツに劣ることのないパフォーマンスを発揮。それでいて北米での価格は9万8900ドル(約1540万円)となかなか戦略的なもの。BMW M5が12万ドル程度ですから、Vシリーズはパワーだけでなくコストパフォーマンスにも優れているのです。
スタンダードのCT5-Vにしても、3リッターV6ツインターボ、約360馬力、0-60mphは約4.6秒とセダンとしては破格のパフォーマンス。5万8300ドルのプライスボードも、ヨーロッパ車が太刀打ちできるものではないでしょう。
エスカレードV
2022年の発売以来、Vシリーズのなかでもっとも高価にもかかわらず、大人気を博しているハイパワーSUV。先のCT5-Vブラックウイングと同型エンジンを搭載し、スーパーSUVにふさわしいチューニング(682馬力/888Nm)が施されたもの。
フルサイズゆえの重量もありつつ、0-60mph加速は4.4秒と、下手なスポーツカー顔負けのパフォーマンスを発揮しています。そのぶんお値段もパワーアップしていて、スタンダードのエスカレードが9万ドル(約1400万円)からスタートするのに対し、Vでは16万800ドル(約2600万円)と倍額に近いもの。
なお、ブラックウイングともども、このエンジンはキャデラックの故郷と称されるケンタッキー州のGMコルベット工場にある「パフォーマンスビルドセンター」で手組されているとのこと。あたかも、初期のAMGやNISMOを思い出させる胸アツエピソードではないでしょうか。
