
この記事をまとめると
■東京オートサロン2026に英国メーカーのケータハムがブース出展した
■ケータハム「プロジェクトV」は走れる本格プロトとして量産を強く意識した段階になった
■モーガン「スーパースポーツ」は現代の技術で未来のクラシックカー像を提案している
着実に進むケータハム製BEVスポーツカー計画
東ホール8でロータスと同じ並びで、同じく英国の香気漂う展示として、ケータハム&モーガンのブースを見逃してはならない。ケータハムといえばここ数年、BEV(バッテリーEV)スポーツカーを開発する「プロジェクトV」を進めている。昨年のプロトタイプから一変、東京オートサロン2026ではブリティッシュ・レーシング・グリーンにタバコ・カラー(タン)がクラシックな雰囲気を醸し出す車両を展示した。
聞けば、昨年の仕様とはまったく別のプロトタイプで、限りなく生産型仕様といっていい内容だとか。いわば、デザインや設計上の整合性を見るために製作された以前のプロトタイプと違って、エンジニアリング的に不備や欠陥がないことを確認する段階に入ったというところだ。
まだまだ目標値とはいうものの、発表された諸元によれば、全長4250×全幅1850×全高1230mmにホイールベースは2630mmと、外寸サイズとしてはなかなかコンパクト。車両重量は目標値の1200kgには及ばず、1430kgというかなりリアルな数値が示されていた。これはどうやら、最終的な車両価格が高くなり過ぎたら、それはもはやケータハムではないということで、カーボンによるバスタブシャシーを諦め、アルミニウムへの置換を進めた結果によるものらしい。
ちなみに1400kg台前半は、BEVでいえばアルピーヌA290とほぼ同じレベルの重量で、BEVとしては相当に軽い。仕様としてはほぼ固まったにもかかわらず、生産技術の上で市販モデルとして完成度を高めていくのはこれからとのこと。また、おそらく生産は英国という見込みなこともあり、オーダー受注は2026年ではなく2027年になるだろうという見通しなのだ。
動力源は、ヤマハが開発に関わっている「αLIVE」と呼ばれるシングルモーターを用いたeアクスルで、バッテリーはパナソニック、さらにモーターとバッテリーを冷やす油冷の液浸システムはエネオスという、パワートレインの基本構成は変わっていない。モーターやインバーター、ギアボックス自体は恐ろしくコンパクトで、車内にはパッドを貼ったのみとはいえ+2リヤシート風の造りが見える点でも、やはりICE(内燃機関)のミッドシップとは別物であることを窺わせる。
出力スペックは電圧350V/800Vに対し、最大出力200kW(272馬力)/450kW(612馬力)と発表されているので、周辺機器の耐電圧コストと制御によるところか。いずれもメイド・イン・ジャパンのエンジニアリング開発やコンポーネントなくして、ケータハムらしい軽量さは成立しなかっただけに、ライトウェイトスポーツとして期待のもてる1台であることは間違いない。
外観は、余計な空力デバイスで見た目が煩雑になることもなく、最新BEVにありがちなエイリアンっぽい一文字ライトを採用することもなく、ケータハム・プロジェクトVのデザインは面構成が綺麗でミニマル、ゆえにクラシックささえ感じさせる。
BEVとICEの両輪戦略は、もはやどのメーカーにも共通だが、ここで後者を担うのはモーガン・スーパースポーツ。鉄製のラダー構造の上に木組のフレームを組み込むことがモーガンの伝統的な構造だが、スーパースポーツは、アルミ接着による新世代プラットフォームを採用し、BMW製B58エンジンつまりF30世代の340iなどに採用されていたストレート6を積んでいる。
アルミとレザー張りによる内装のクオリティも、とても現代的といえる。いまの目で眺めるとモダンのようだが、じつは未来のクラシックという、英国車ならではのクルマづくりが貫かれた1台なのだ。約2700万円という価格だけが、円安の令和らしい手が届きにくい原因になるだろう。
