
この記事をまとめると
■2024年のコメ不足と価格高騰は担い手不足や構造問題を改めて露呈させた
■閉鎖空間である農地では自動化農機の導入が比較的進めやすい状況にある
■自動散布機や自動操舵技術は省力化の切り札だが導入支援が不可欠だ
日本農業の未来は自動化技術に託される?
2024年、日本の主食であるコメが不足して大騒ぎになった。米価が高騰し品物が店頭から消え、ついに政府が備蓄米を大量放出する事態に陥ったのだ。こういった状況も、2025年の新米が出るまでに解消するなどといわれていたが、一度高騰した米価はなかなか下がらない。一方、卸問屋には在庫が積み上がっているなどといわれ、2026年初頭には米価暴落の噂さえある。
コメ不足問題は、さまざまな要因や思惑が交錯したことによって増幅された結果といえよう。しかし、一般に農作物は天候や収穫時期などで収量が変わるために、年間を通じて価格を安定させることが難しい。大規模農業や植物工場であれば、そういったリスクの分散も少しは考えられようが、棚田などの狭い農地を利用した個人の事業規模による運営では、簡単に解決できる問題ではない。加えて、担い手不足の問題がある。このままではわが国の農業は衰退し、食料自給率は低下の一途をたどりかねない。
そこで注目されているのが、農業機械の自動化である。すでに、新都市交通や建設機械では実用化段階にあり、トラック・バス・乗用車も実証実験が進められている。公道を走行する車両の場合、建物などの障害物や歩行者・自転車・ほかの車両が行き交うことに加え、安全のために規制などの複雑なルールがあるため、完全自動化にはまだしばらく時間が必要なようだ。
しかし、新都市交通や大規模建設現場などの閉鎖区域であれば、制限をかけやすいので比較的自動化をしやすい。そういった意味では、農地も似たようなところがある。ゆえに、小型農機のリモコン化は早い段階から導入がされてきた。なかでも、農薬の散布や雑草除去用の農機はリモコン式の機種が多く存在する。
リモコン化は農業の効率化・省力化に貢献しているが、これが自動化されれば人手不足やコスト削減も期待できるようになる。ということで、農機などの各メーカーでは自動化技術の導入を進めているのである。そのひとつが、果樹園の農薬散布を行う「Aries300N」だ。あらかじめ経路を記憶した機械は、GPSの情報を基に自動で作物に農薬散布を行うので、運転時にオペレーターを必要としない。クローラ方式の駆動だから、高低差がある山肌の果樹園でも対応が可能だ。
収穫物の輸送などマルチに活躍するのが、自立走行可能な「Adam」だ。手動やリモコンでも操作は可能だが、最大の特徴はAIを利用した自動走行である。AIは大型農機にも導入が進められており、なかでも注目されているのがトラクターの自動操舵システム「ALLYNAV AF718」だ。高感度ナビゲーションシステムによるスムースなハンドル操作が特徴で、農作業のエリアを正確に特定してリアルタイムの調整が可能。複雑な地形や障害物が多いところでも、正確で安全な農作業を行うことができるのだ。
これらの技術は、わが国が抱える農業の問題点を解決してくれる一助になることは間違いない。ただ、多くの農家は小規模であり、新たな技術に大きな投資のできる環境をもっているところが少ないのだ。国や自治体がこういった技術の導入に、どれだけ注力できるのかといったことが、わが国の農業の運命を握っているといっても過言ではないだろう。
