
この記事をまとめると
■新生デ・トマソがトラックモデル「P900」向けに自社開発の自然吸気V12を完成させた
■合成燃料対応で最高出力900馬力・最大回転数12300rpmを誇る
■P900は一切の電動化を施さず乾燥900kgの超軽量車体を実現している
デ・トマソが弩級のNA・V12エンジンで復活の狼煙をあげる
デ・トマソがかつて誇った名声は、今更多くを語るまでもないだろう。もともとレース屋であったアレッサンドロ・デ・トマソによってスタートした同社は、フォードとのタッグによるパンテーラの時代に栄華を極めた。
だが、パンテーラ生産終了後のデ・トマソが辿った運命は決して明るいものではなかった。新規モデルのグアラは鳴かず飛ばずで、アレッサンドロが没した翌年の2004年に会社としてのデ・トマソは解散。数年後にイタリアの実業家によってブランドが蘇らされるも、その復活計画も頓挫した。
しかし、今度の復活劇には期待していいかもしれない。ドイツのスーパーカーメーカー、アポロ・アウトモビリの再生も成功させた台湾の投資キャピタルによって復活した新生デ・トマソは、2019年に「P72」のプロトタイプモデルを公開。72台の生産がアナウンスされ、2025年に生産仕様が正式発表されたばかりだ。
そして今回デ・トマソは、P72をベースとして同社が開発中のトラック専用ハイパーカー「P900」向けに自社開発のV12エンジンを完成させた。この排気量6.2リッター、バンク角60度の自然吸気V12エンジンは、合成燃料を使用することで900馬力を発生し、最高回転数は12300rpmをマークする。エンジン単体の重量は220kgで、V12エンジンとしては史上最軽量クラスとなる。当初、このV12エンジンの開発には2年が見込まれていたが、実際には倍の4年がかかったという。
エンジンの開発に際しては、デ・トマソが設計を行い、イタルテクニカ・エンジニアリングが製造を担当したとされる。視覚的インパクトがもっとも大きいのは、12気筒ぶんの排気がひとつの出口に集中するエキゾーストマニフォールドの構成だろう。12本のヘッダーが複雑に絡み合い、最後に巨大な円筒形の出口に収束するビジュアルはまさに圧巻だ。
P900において特筆すべき点は、ハイブリッド化や電動化を一切行っていないことだ。エンジンが車体の構成要素のひとつとなっている「stressed member」レイアウトを採用し、構造的軽量化と剛性の向上を同時に実現している。車両の乾燥重量は900kgで、モデル名はこの重量を由来とする。
駆動方式は後輪駆動のみで、Xtrac社製のシーケンシャルミッションが搭載される。エアロダイナミクスも重視されており、アクティブ後方翼はF1のDRS(ドラッグリダクションシステム)に倣った設計で、前方スプリッターやアンダーディフューザーといった機能的なエアロパーツが組み合わせられている。
デ・トマソは、18オーナーのためにニュルブルクリンク近隣の施設で車両の保管も提供する予定とされている。さらに「De Tomaso Competizione」という年間6戦のレーシングシリーズも開催を計画しているという。今後の続報に期待したい。
