
この記事をまとめると
■フェラーリの子会社化したマセラティが21世紀に発表したのがクーペとスパイダーだった
■クーペとスパイダーによってマセラティは11年ぶりにアメリカ市場に復帰を果たした
■マセラティ・クーペ&スパイダーはフェラーリと共同開発の390馬力V8を搭載した
フェラリーの子会社となって再出発をしたマセラティ
マセラティにとって1990年代は、まさに激動の時代だったといえるのかもしれない。1990年代が始まった時点ではデ・トマソの傘下にあった同社は、1993年になるとフィアットグループに再編され、さらに1997年にはやはり同グループに属するフェラーリの子会社となった。マセラティの21世紀はフェラーリとともに始まったのだ。
そのマセラティが、21世紀を迎えて最初に発表したモデルが、それまでの「3200GT」の後継車として開発された「クーペ」と、そのオープン仕様となる「スパイダー」の両車だった。正確には、先に登場したのは2001年のフランクフルトショーでワールドプレミアされたスパイダーで、クーペはそれから若干遅れて2002年のデトロイトショーでの正式発表という時系列になるのだが、そのセールスはいずれも2002年から本格的に開始されている。
また、このクーペとスパイダーは、マセラティにとってはじつに11年ぶりとなる、アメリカ市場での販売が実現したモデルとなったことも大きな話題を呼んだ。
クーペ、そして新たにラインアップされることになったスパイダーのボディデザインは、3200GTがそうであったように、いずれもイタルデザインのジョルジョット・ジウジアーロによって描かれたものだ。3200GTとクーペとの間には基本的なシルエットに変化はなく、前者では特徴的なブーメラン型を採用していたテールランプがオーソドックスな台形型となったことや、ボンネットフードのデザインが見直されたことなどがわずかな違いとなる。
一方、インテリアのデザインは、かつてピニンファリーナやランチアなどで多くの作品を残した、エンリコ・フミアに委ねられることになった。さらに、シートの着座位置を見直したことなどで、前席まわりのスペースは3200GT比で前後方向では15mm、上下方向でも25mmの余裕が新たに生まれた。同時にドライビングポジションがより改善されたことも見逃せない。
ちなみに後席をもつクーペのホイールベースは2660mm。これに対して2シーターとなるスパイダーは2440mmと、両車の差別化は明確に図られている。
フロントに搭載されるエンジンは、まさにこの時代のマセラティとフェラーリの関係を象徴している。「F136R」型と呼ばれるそれは、フェラーリとの共同開発によって誕生したV型8気筒自然吸気で、排気量は4244cc。
こちらも3200GTからの進化型と考えることが可能だが、ただ単に排気量を拡大しただけではなく、クロスプレーンのクランクシャフトやドライサンプの潤滑方式、さらにはチェーン駆動されるDOHC32バルブヘッドを採用するなど、フェラーリによるチューニングは徹底していた。吸気側のカムシャフトには可変バルブタイミング機構も導入され、クランクケースとシリンダーヘッドはアルミニウムとシリコンの合金製。エンジンの単体重量は184kgを実現した。
注目の最高出力は390馬力、最大トルクは451Nmを達成している。ミッションは6速MTの「GT」と、「カンビオコルサ」と呼ばれる6速セミATの選択ができた。
マセラティ・クーペ、そしてスパイダーがメカニズム面での特長とするところはまだまだ多くあった。そのなかでもとくに注目されたのは、オプションで設定されていたコンピュータ制御のサスペンションダンピングシステム、「スカイフック」だ。それによってドライバーとパッセンジャーは常にラグジュアリーな雰囲気に包まれ、そしてスポーツモードを用いれば驚くほどに安定した、また、ナチュラルなコーナリングを楽しむことが可能だった。
そしてこのクーペとスパイダーは、マセラティというブランドの評価を大きく高める大きな原動力となったのだ。
