
この記事をまとめると
■マツダはジャパンモビリティショー2025に「ビジョンXクーペ」を出展した
■ビジョンXクーペはロータリーターボエンジンとモーターを組み合わせたPHEVだ
■ビジョンXクーペは「マツダらしさ」を凝縮したマツダからの提案だ
ファンが待ち続けるマツダのロータリークーペ
あのクーペは、あれからどうなったのか? マツダがジャパンモビリティショー2025(10月30日〜11月9日)に出展した「ビジョンXクーペ」のことである。
外観は、マツダの真髄である魂動デザインをさらに一歩先に押し上げようという試み。よく見ると4ドアなのだが、2ドアクーペと見間違えるような大胆な造形だ。
ボディ寸法は、全長5050mm×全幅1995mm×全高1480mm、ホイールベースは3080mm。このサイズから考えて、このまま量産化に移行するとは思えない。そもそも「ビジョン」を名乗っているのだから、量産前提ではない。
注目ポイントは、同じブースに出展された「ビジョンXコンパクト」の存在だ。マツダのデザイン部門幹部によれば、「これら2モデルをご覧いただき、次世代マツダデザインの幅の広さを実感してほしい」という。
では、「ビジョン X-クーペ」は単なるデザインコンセプトなのか? 実車を見たショーの来場者の多くが、デザインよりもクルマの中身に注目しており、これこそがマツダの狙いだ。
中身の注目ポイントは大きくふたつ。
ひとつ目が、2ローター・ロータリーターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドであること。ここでいう2ローターとは「8C」の連装だ。次世代ロータリーエンジン「8C」は、「MX-30 ロータリーEV」に搭載され量産されている。
ふたつ目は、「モバイル・カーボン・キャプチャー」だ。ロータリーエンジンをカーボンニュートラル燃料で駆動し、この装置で排気ガス中のCO2を回収する。
マツダは実際に、この仕組みを使ったクルマを公の場で走らせている。国内モータースポーツのスーパー耐久シリーズ2025シリーズ最終戦にて「ST-Q」クラスに参戦する「マツダスピリットレーシング3フューチャーコンセプト」でCO2回収に成功している。2026年シーズンは、CO2回収のサイクルを高巡回させて、来シーズン以降ではCO2と固形物と融合させて取り出し、それを活用したエコシステムの構築を目指す。
このように、「ビジョン X-クーペ」はデザインと先端技術における「マツダらしさ」を凝縮した、マツダから社会に対する提案だ。
だが、一部には「抽象的過ぎる」や「掴みどころがない」といった声があるのも事実。そうした意見をもつ人たちの多くが、ジャパンモビリティショー2023で見た「アイコニックSPはどうなったのか?」という思いがあるだろう。さらに時代を振り返れば、2015年の第44回東京モーターショーで華々しく披露された
「RX-ビジョン」が懐かしいと思うかもしれない。アイコニックSPとRX-ビジョンに次世代「RX-9」を夢見た人が多いはずだ。
いま、グローバルの自動車産業は大国による保護主義の拡大や政府主導型の産業体系が発展しており、マツダの事業維持と事業拡大に対する厳しさが強まっている状況だ。そうしたなか、マツダが未来に向けたさまざまな選択肢を模索するなかで生まれたのが「ビジョンX-クーペ」だといえる。
マツダがこれからどのような道を進むのか。大いなる期待を持って見守っていきたい。
