
この記事をまとめると
■BYDではATTO3が実質105万円安く購入できるキャンペーンが行われたことがある
■キャンペーン内容はBYDによる70万円値引きと国の補助金35万円をあわせたものだった
■同キャンペーンにより新車と中古車の価格に逆転現象が起こった
なぜBYD補助金で新車が中古車よりも安くなったのか?
中国メーカーのBYDが「BYD補助金」を実施した。「補助金」の名称は付くが、国や市が税金を使って交付する本来の補助金ではない。実質的には値引き販売で、金額の交渉をせずに一律の金額を差し引いた。
BYDは2023年1月にATTO3を発売して、その後は順次、バリエーションを拡大した。そして2025年9月に、1カ月間限定の販売促進策として「BYD補助金」を実施した。
たとえばATTO3は、実質値引きの「BYD補助金」が70万円と多額だった。当時もいまも、国から交付される補助金額は35万円だから、70万円の「BYD補助金」を加えると合計105万円になる。ATTO3の価格は418万円だが、105万円を差し引くと、実質価格は313万円まで下がった。
いまでは統一された「BYD補助金」は終了したが、各販売会社ごとに「BYD補助金」に準じたキャンペーンを実施している。30万〜50万円を値引きするケースが多く、ボディコーティングなども組み合わせて、割安感をさらに強調する販売会社もある。
注意したいのは中古車価格とのバランスだ。BYDの場合、トヨタランドクルーザーのように中古車がプレミアム価格によって高値になることはない。それでもATTO3の走行距離が短い中古車は、300万円前後で販売されている。中古車には補助金が交付されないから「BYD補助金」を受け取った313万円の実質価格に近い。
BYDに限らず、大幅値引きに相当するキャンペーンを実施すると、新車価格が中古車価格を下まわる結果を招くことがある。そうなると中古車の販売が不利になり、中古車販売店では、中古車価格を下げざるを得ない。中古車価格が下がれば、ユーザーの売却額や下取り額も安くなる。この図式が以前のマツダで、大幅な値引き販売がユーザーの売却額、つまり資産価値を下げていた。
大幅値引きにはこのような弊害があるため、全国的に実施された「BYD補助金」も期間限定だった。長期間にわたり実施すると、BYDユーザーの資産価値を下げるからだ。
いい換えると「BYD補助金」のような大幅値引きに準じるキャンペーンは、本当は好ましくない。キャンペーンで安く買えたユーザーはうれしいが、値引きをしないで正規価格で買った車両の売却額まで連動して下げてしまうからだ。大幅値引きのキャンペーンを実施するなら、もともとの価格を安く抑えるべきだ。
