
この記事をまとめると
■フェラーリが2003年に発表したV型12気筒2+2GTが「612スカリエッティ」だ
■612スカリエッティは優美でラグジュアリーなスタイルでまとめられていた
■後継モデルとなる「FF」で3ドアのシューティングブレークへと姿を変えた
レーシングマシンのイメージを受け継ぐ「612」という車名
フェラーリにとって、V型12気筒エンジンを搭載する高性能で高級な2+2GTは、1940年代からの伝統のシリーズだった。そして、21世紀を迎えたフェラーリは、2003年の秋にそれまでの「456M GT/GTA」の後継車となる、新型のV型12気筒2+2GTを発表する。ここで紹介する「612スカリエッティ」がそれだ。
デビュー前には、翌2004年1月に開催されるデトロイトショーでワールドプレミアされるのではないかとの噂もあった612スカリエッティ。それはフェラーリのシリーズモデルのなかでも、歴代のV型12気筒2+2GTは、とくにアメリカで圧倒的な人気を誇ってきたことを考えれば自然に思える話だった。
そしてこの事実は、このニューモデルに与えられたネーミングにも確かに表れていた。ちなみにサブネームとして添えられたスカリエッティとは、当時フェラーリがすでにスタビリメンティ・スカリエッティとして同社の一部門とするに至っていた、カロッツェリア・スカリエッティ、あるいはその創始者であるセルジオ・スカリエッティを意味していることは、フェラーリのカスタマーやファンには容易に理解できたところだ。
ただし、難しいのはその前にある612という数字が示すものだった。一般的な考えるのならば、それは6リッターのV型12気筒エンジンを表すということになるはずなのだが、実際に612スカリエッティに搭載されたV型12気筒エンジンの排気量は、正確にはそれまでの456シリーズと変わらず5748ccしかなかった。それを6リッターとするにはやや無理があるというのが正直な印象だろう。
だが、フェラーリは過去にも612という数字を掲げたモデルを製作したことがあった。それはアメリカで人気のモータースポーツシリーズ「Can-Am」に、1968年に投入された「612 Can-Am」だ。そのレースシーンでの活躍を改めて記憶のなかに蘇らせることは、612スカリエッティのアメリカにおけるセールスに大きく貢献するに違いない。フェラーリがこのような意思を込めて、一見不可解にも思える車名を選択したことの理由はここにあった。
