
この記事をまとめると
■ロータリーエンジンは現在発電用ユニット以外では使われていない
■特殊な構造からロータリーエンジンは10万キロ前後でオーバーホールが推奨されている
■昔はオーバーホール費用が安価だったが現在は高くなりつつあるので早めの決断が重要だ
ロータリーエンジンはなぜオーバーホールの頻度が多い?
2012年6月にRX-8が生産終了。その後、ロータリーエンジンを発電機として搭載したMX-30 ロータリーEVが登場したとはいえ、発電以外の目的での使用されるロータリーエンジンの量産車は、新車カタログから姿を消してしまったままになっている。そうした事情で年式から考えると、RX-7もRX-8も、エンジンオーバーホールの時期を迎えているといっていい。なぜなら、ロータリーエンジンは一般的に約10万km前後でオーバーホールが必要だといわれているからだ。
ちょっと前までクルマの寿命は10年10万kmといわれていたので、10万kmで要オーバーホールといわれても、それほど問題がないような気もするが、エンジン単体で比較すれば、レシプロエンジンならオイル管理や冷却水などのメンテナンスを怠らなければ、20万kmぐらいは問題なく走る。サーキットなどで高負荷・高回転を多用すれば話は別だが、それはロータリーでも同じで、ロータリーなら10万kmどころかもっと寿命は短くなる。では、どうしてロータリーはより早くオーバーホールが必要になってしまうのか。
わかりやすくいうと、ロータリーエンジンは、シール類の総延長が長いからだ。ロータリーエンジンは吸排気バルブがなく、2ローターのエンジンなら、ふたつのローターが回転して動力を生み出す。そして、ひとつのローターにつき、3つの燃焼室があり、ローターが1回転する間に、燃焼・膨張行程が3回あるのが特徴。その燃焼室の気密性を保つのは、ローターの3カ所の頂点にあるアペックスシールと、サイドハウジングと接するサイドシールだ。
シール類が消耗品なのは、レシプロエンジンも同じで、オーバーホールの際はピストンリングなどを交換するのが常だが、ロータリーエンジンのシール類はひとつひとつが大きくて長い。そして爆発頻度が高いので、高温高負荷にさらされ続け、シールの負荷が大きいので傷みやすく、シールの摩耗・損失が大きくなってくると、そこから圧縮圧力が漏れてくると、パワーが抜け、エンジン不調や、エンジン始動不良の原因になり、オーバーホールが必要になってくるというわけだ。
また、燃焼室が縦長で平らな形状をしているため、2本のプラグで点火しても、完全燃焼しづらく、カーボンが溜まりやすく、しかもローターが回転することで、そのカーボンなどがシールとハウジングの間に挟まりやすく、これがハウジング内壁にキズをつけ、圧縮を落とすケースも少なくない。シールの摩耗損失やハウジングに傷が入ると圧縮が抜け、パワーがダウンし、エンジンが不調になったり、始動性が悪くなるので、そうした消耗部品を交換する=オーバーホールをすることに……。
したがってオーバーホールの必要性はエンジンの圧縮比を計ればわかる。RX-7(FD3S)の例で、圧縮比が8.5kgf/cm²以上あれば元気なエンジンで、7.0kgf/cm²以下なら、そろそろオーバーホールのタイミング。またフロント側とリヤ側のコンプレッションの差が1.0kgf/cm²以上あるときもオーバーホールが必要だといわれている。
このように確かにレシプロエンジンに比べ、オーバーホールまでの期間が短いロータリーエンジンだが、かつてはその費用はレシプロエンジンのオーバーホールと比較してかなり安く、ベアエンジンも安価だったので、割り切ることもできた。
しかし、最近は部品価格も高騰し、工賃も値上がり続きなので、維持費は高い。とはいえ、部品も工賃も今後ますます高くなっていく傾向なので、オーバーホール費用は今が底値。オーバーホールを検討中のロータリーオーナーは、できるだけ早く決断したほうがいいだろう。
