
この記事をまとめると
■CMFは色・素材・仕上げを担うデザイン領域である
■スタイリングのデザインとは別に専門的に分業されている
■クルマの印象や質感を左右する重要な役割をもつ
クルマの完成度を左右する縁の下の力もち
最近、カーデザインにおいてCMFという言葉を耳にするようになりました。これまでクルマのデザインといえばエクステリアデザイン=外形のスタイリングという固定されたイメージがありましたが、どうやらそれとは異なる領域のようです。今回は、女性が多く活躍するというCMFデザインに迫ってみたいと思います。
CMFとは、C=カラー、M=マテリアル、F=フィニッシュの頭文字で、それぞれ色と素材、仕上げ加工を意味し、インテリアやファッションなど幅広い分野のデザインで用いられる領域、用語です。
クルマの場合、Cはボディや内装の色、Mはパネルの樹脂やシート生地などの素材、Fは内装素材などの表面加工を示します。つまり、スタイリングを担当するエクステリアデザイナーとCMFデザイナーは分業制をとっており、メーカーによっては部署も別になっているようです。
で、わざわざ分業にするのは、CMFには相応の奥深さや幅広さがあるため。たとえば新しいボディカラーを設定する場合、CMFデザイナーは外部の塗料メーカーとゼロからの開発を行うことが一般的です。メタリック系では色相以外にもパールや金属粉などの調合もあり、当然そうした専門知識も必要になります。
これは素材や仕上げも同様。たとえばシート生地の設定では、やはり外部の繊維メーカーとの共同開発など、布の織りや染め、縫製に至るまで多くのプロセスが必要になります。ほかにも、インパネなど樹脂の「シボ」の設定や木目パネルの表面印刷など、その領域はじつに広大。こうなると、スタイリングとCMFの分業は当然のことといえるでしょう。
ところで、CMFデザイナーは、エクステリアに比べて女性の活躍が目立つのが特徴です。これはなぜなのでしょう?
CMFは、もともとエクステリアを担当していたデザイナーが「移籍」することもありますが、多くの場合は最初からCMF担当としてメーカーへ就職します。じつは、そのなかには美術大学などでテキスタイルデザインを専攻していた学生が少なくありません。
布の織りや染めを扱うテキスタイルデザインはクルマのCMFと親和性が高く、メーカーは以前から美術大学などに求人を出しています。で、この専攻は女性の割合が高いわけです。
面白いのは、同じ美術大学でも、エクステリアデザイナーは「自動車ゼミ」出身など、そもそもクルマ好きの学生が多いのに対し、CMFでは特段クルマに興味のなかった学生が、たまたま就職先のひとつとして選択するケースが多いこと。女性が多い理由にはこんな背景もあるようです。
さて、近頃耳にするようになったこのCMFデザインですが、やはりエクステリアに比べればまだまだマイナーな存在です。しかし、前述のとおりCMFの領域は極めて幅広く、クルマの世界観を左右する重要なパートなのです。
知名度の向上策としては、一般社団法人日本流行色協会が主催する「オートカラーアウォード」などのイベントもありますが、筆者としてはもっと広く周知されるべきデザイン領域だと考えています。
