
この記事をまとめると
■トラックのタイヤが浮いているは「リフトアクスル」という機能のためだ
■リフトアクスルには燃費や高速料金の最適化などのメリットがある
■リフトアクスルは使い方を誤ると違反になる場合や重大事故なリスクも潜んでいる
一部のタイヤを浮かせて高速走行する大型トラック
高速道路走行中にトラックのタイヤが浮いてるのを見たことがないだろうか。サービスエリア休憩中のトラックをよく見ると、タイヤの一部が浮いていることがある。これはリフトアクスルと呼ばれる機能で、トラックやトレーラーの車輪(車軸)の一部を、空車時や積載量が少ないときに空気圧などでもち上げているのだ。
まずは簡単にリフトアクスルについて触れておこう。リフトアクスルの目的はコスト削減だ。通常、大型トラックは重い荷物を運ぶために多くの車軸を備えているが、必要のないときに車軸を浮かせ、必要なときだけタイヤを接地させるのがこのシステムの役割だ。車軸を浮かせることで受けられるもっとも大きなメリットは、高速道路料金の節約だろう。日本の高速道路料金は、「接地している車軸の数」で区分が変わる場合があるため、軸を上げることで「特大車」から「大型車」扱いにランクダウンし、通行料金を安く抑えられるというわけだ。
それに加えてタイヤと路面の摩擦抵抗が減るため、荷物が少ない(空荷など)ときは燃費が改善すると同時に、接地しないタイヤは摩耗せず、ブレーキ機構も使わないため、メンテナンスコストも削減できる優れモノなのだ。
リフトアクスルは、主にエアサスペンションの技術を利用しており、上昇時はエアスプリングの空気を抜き、代わりに「リフト用エアバッグ」を膨らませて車軸を吊り上げるという仕組みだ。また、下降時は荷物を積み、残りの車軸にかかる荷重が一定の制限値を超えると、センサーが感知して自動的に車軸を降ろすようになっている。
このように、荷物の量や重さによって走行中の車軸を変化させるわけだが、前述した高速料金の説明を思い出してほしい。
車軸が少ないほど高速料金が安くなるとすれば、常に車軸を上げていればいいのではないかと考えるかもしれない。しかし、これは非常に危険な行為なのだ。重い荷物を積んでいるにもかかわらず軸を上げたままで走行すると、接地している車軸やタイヤに過度な負担がかかり、バーストや車軸の破損を招く恐れがあるため、完全にNG行為だ。
もちろんリフトアクスル機能で車軸数を減らし高速料金を安くするという行為は違法行為であり、リフトアクスル機能で車軸数を不正に減らすと道路交通法違反で処罰される。高速道路の不正通行を行ったドライバーに対しては、特措法第59条が適用され30万円以下の罰金が科されるうえに、不正に免れた通行料金免れた通行料金の3倍が請求されることになっている。
では車軸の数が状況によって変わるのであれば、高速道路のETC通過時にどうやって車軸の数を判別しているのだろうか。その答えは路面に埋め込まれたセンサーにある。車軸の数を計測するための方法はいくつかあるが、ここではひとつの例としてセンサーによる計測システムを取り上げてみよう。
ETCゲート(入口・出口)の手前には、踏板と呼ばれるセンサーが路面に埋め込まれている。トラックがこの踏板の上を通過すると、タイヤの重みを感知して車軸の数をカウントするのだ。このとき車軸を上げている場合、浮いているタイヤは踏板に触れないため、センサーは「軸が少ない(例:3軸)」と認識し、車軸を下げている場合はすべてのタイヤが踏板を叩くため、センサーは「軸が多い(例:4軸)」と認識するというわけだ。
トラックがETCを通過する場面をじっくりと観察する機会はなかなかないだろうが、渋滞などでゆっくり見られることがあれば、踏み板を観察してほしい。また、サービスエリアなどに立ち寄ったときにリフトアクスルによって車軸をもち上げているトラックを探してみるのも面白い。巨大なタイヤが空中に浮いているという、けっこうインパクトがある光景が見られるはずだ。
