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大阪万博でEVバスを納入した時代の寵児「EVモーターズ・ジャパン」が経営破綻! スピード感重視でおざなりになった「品質管理」問題

大阪万博でEVバスを納入した時代の寵児「EVモーターズ・ジャパン」が経営破綻! スピード感重視でおざなりになった「品質管理」問題

この記事をまとめると

■EVモーターズ・ジャパンが民事再生法を申請した

■万博向けEVバスを納品する一方での不具合やリコールが相次いだ

■急成長の裏で自動車メーカーとして重要な品質管理が十分に機能していなかった

EVモーターズ・ジャパンは何が問題だったのか

「日本初の商用EVメーカー」として時代の寵児となり、関西万博のシャトルバス運行という大舞台に躍り出ていたベンチャー企業「EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)」。2026年4月、民事再生法の適用を申請して事実上の経営破綻に追い込まれた。脱炭素の旗手と讃えられた同社が、なぜこのような悲惨な状況に追い込まれたのであろうか。

 EVMJは2019年4月、ものづくりの街・福岡県北九州市で設立された。この地域ではベンチャー企業の設立・成長を手助けするなど、起業を後押しすることで地域活性化を図ろうとする自治体の多いところ。同社は大手エンジニアリング企業出身の技術者らが培った、「独自のリチウムイオン電池制御技術」をコアに据え、低電費で長寿命な商用EVバスの開発を目指して起業した。

 国家的規模で推進されている脱炭素の潮流に乗り、地場ベンチャーの期待を一身に背負っていたといっても過言ではない。その象徴ともいえるのが、大阪メトロから受注した関西万博向けEVバス約190台だ。2024年12月期には売上高約80億円を計上するなど、破竹の勢いで発展を遂げていたのである。

 ところが、その急拡大の裏で、自動車メーカーとして重要な要素である品質管理が十分に機能していなかったといわれている。関西万博や同社のバスを採用した各地の実証実験において、同社の自動運転バスやシャトルバスからいくつかの不具合が発生した。そして国土交通省による立ち入り検査や総点検の結果、ブレーキ関連や回生ブレーキ、電装系などで複数の不具合が確認され、リコールへと発展したのだ。

 事態を重く見た大阪メトロは導入したEVバスの今後の活用を断念し、契約解除と約96億円の返還請求に踏み切った。これにより、一挙に資金繰りがショート。負債総額約57億円(2025年12月期)を抱えて今回の申請に至ったのである。

 EVMJは開発・設計に特化し、生産は外部に委託する「ファブレス」のメーカーであり、実際の製造を担っていたのは中国の企業である。ファブレス方式は初期投資を抑え、スピード感をもって市場に参入できるというメリットがある反面、「他社が作ったクルマに自社のバッジを貼るだけ」の存在になりかねない。

 これに似た形態としては、小売事業者のプライベートブランド(PB)が挙げられよう。これの成否は、販売事業者の企画力・品質管理力にかかっている。もちろん、前提として製造事業者を凌ぐ知識や技術も必要だ。ユニクロのPB戦略が成功しているのは、ひとえにこれらの要件を十分に満たしているからなのだ。

 それに対し、EVMJはどうであったのだろうか。人命を預かる自動車において、製造委託先の品質管理を完全にコントロールすることは極めて難しい。そこで同社は、北九州市に量産組立工場「ゼロエミッション e-PARK」を建設し、「日本発」「国内生産」を前面に打ち出していた。これが功を奏したようで、国や自治体から約43億円もの公的補助金を受け、大阪メトロからも大口受注を勝ち取ることができたのだろう。しかし、EVMJは開発・設計を主体とし、生産については海外メーカーとの協業を活用するファブレス型の事業モデルを採用していた。

 現在、同社は民事再生手続きのなかでスポンサーを選定し、事業再建の道を模索している。しかし、国交省からの補助金返還請求や大阪メトロからの巨額の賠償請求を受けている状況であることには変わりはない。

 先進性やスピード感を優先し、自動車としての安全性や基本的な性能の部分がおざなりになったことが、この破綻につながったということなのだろう。とはいえ、わが国のEV開発や脱炭素に貢献できる可能性をもつ企業である。よいスポンサーとパートナーシップを組み、再生の道を歩んでもらいたいものだ。

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