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伝統ある東本願寺前でギラギラのデコトラ車内を茶室化して茶会だと!? 強烈インパクトの裏にある壮大な狙い

伝統ある東本願寺前でギラギラのデコトラ車内を茶室化して茶会だと!? 強烈インパクトの裏にある壮大な狙い

この記事をまとめると

■東本願寺前でデコトラを茶室にした異色イベントが開催された

■伝統文化とデコトラ文化を融合し新たな茶道体験を提案

■若年層や観光客へ日本茶文化の魅力を発信する試みとなった

伝統的な茶道とデコトラ文化を融合

 2026年5月9日、京都・東本願寺前の「お東さん広場(東本願寺前市民緑地)」にて、前代未聞の異色イベントが開催された。アートチーム「ROJIROLL」が主催した茶会「而二不二(ににふに)」である。古都の歴史を見守ってきた壮大な伽藍を背景に、圧倒的な存在感を放つデコトラ(装飾トラック)が並ぶ光景は、まさに「美しきカオス」と呼ぶにふさわしい衝撃を放っていた。

 同イベントの最大の注目点は、全面鏡面仕様のデコトラ「シルバーサタン」の荷台を、一時的な茶室に仕立て上げた「デコトラ茶室」だ。かつて、豊臣秀吉はその威容を誇るために、絢爛豪華な「黄金の茶室」を造ったといわれているが、令和の京都に現れたのは重厚なメッキの美学を纏った「銀の茶室」だ。荷台の扉が開かれると、内部は壁一面が縞板アルミで覆われたギラギラと乱反射する空間。しかし、その無機質な金属空間にひとたび光が吸い込まれると不思議な静謐さが漂うのだ。

 この銀の空間に、凛とした佇まいで座す茶人たち。重厚な黒の掛け軸や鉄瓶が配され、正式な作法に基づいたお茶のお点前が披露された。一見、対極に位置する「デコトラのメカニカルな輝き」と「雅な伝統美」が、鏡面構造の車体によって東本願寺の建築や参拝者の姿とともに映り込み、空間そのものを拡張していく。さらに会場には、「騎士」「功龍丸」「ゑびす丸」「GALAXY EXPRESS」「二代目右京丸」「三代目麻美丸」といった名うてのデコトラ軍団が駆けつけ、唯一無二の空間に華を添えた。

 会場となった「お東さん広場」は、その名のとおり浄土真宗大谷派の本山である「東本願寺」前の広場。京の都を南北に貫くメインストリートの1本である「烏丸通」が、少し迂回している(逆にいえば、広場が通りに対して出っ張っている)ところだ。かつて、ここには京都市電が走っていたが、廃止後は車道化されるなどの変遷を経て広場となり、今では市民や観光客が楽しめるさまざまなイベントが催されている。

 そのイベントのひとつとして開催された「不二不而」。これほど過激なビジュアルを展開した目的と狙いには、非常に切実なものがあったのである。現在、日本のお茶文化は海外でこそブームが起きているというものの、お茶農家の高齢化や全体的な需要減退により製茶事業者の廃業が進み、ここ15年で半減したという深刻な危機に直面している。

 主催のひとりであり鉄のリサイクル業を営む島田晃吏氏は、「古いものを活かして新しい価値を生み出す」といった、リサイクルの思想をお茶の文化に重ね合わせたのだという。伝統をただ守るだけでなく、デコトラという強力なカウンターカルチャーを掛け合わせることで、これまでお茶室や茶道に触れる機会がなかった若者やクルマ好き、観光客への「新たな入口」を創出しようと考えたわけだ。

 イベント名である「而二不二(ににふに)」とは、仏教用語で『ふたつであって、ふたつではない(相反するふたつのものが、根源ではひとつに溶け合っている、宗派によっては「異体同心」ともいう)』という意味をもつ。青い空・歴史ある寺院・銀に輝くトラック。すべてがひとつに溶け合ったこの試みは、自動車文化のもつ「表現の可能性」が、日本の伝統を守る起爆剤になり得ることを証明してみせたといえよう。

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