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海の上のポツンと一軒家……ならぬ構造物!? 港湾用語でその名も「ドルフィン」ってなに?

海の上のポツンと一軒家……ならぬ構造物!? 港湾用語でその名も「ドルフィン」ってなに?

この記事をまとめると

■ドルフィンとは港湾内に設置される係留施設

■大型船を安全につなぎ留める役割を担う重要設備だ

■海上輸送と陸上輸送をつなぐ欠かせない存在である

港湾内で物流を支える黒子

 港や埠頭の近くを走っていると、岸壁から少し離れた海上にコンクリートや鋼管でできた小さな島のような構造物を見かけることがある。人が歩くための桟橋でもなく、灯台ほど目立つわけでもない。けれど、太いロープが掛けられていたり、船の横に寄り添うように配置されていたりする。その不思議な構造物は、港湾の世界で「ドルフィン」と呼ばれるものだ。

 ドルフィンとは、港湾内の水域に設けられる係留用の構造物で、船をつなぎ留めたり、接岸時の位置決めを助けたりするために使われる。岸壁のように陸と一体になっている施設ではなく、海の中に独立して設置されるのが大きな特徴だ。港湾施設の分類では、陸側に接してつくられる岸壁や桟橋が「接岸施設」とされるのに対し、ドルフィンは沖側に設けられる施設の代表的存在といえる。

 ドルフィンと聞くと多くの人はイルカを連想するだろうが、港湾用語としては、係船杭や係留施設を意味する。構造としては、鋼管杭を海底に打ち込んだものや、コンクリート製の構造物を据えたものなどがあり、船から伸びる係船ロープを取るための設備や、船体の衝撃を受け止める防舷材を備えている場合もある。つまり、見た目は地味でも、船を安全に止めるための海上の支点のような役割を担っている。

 この役割は、ガードレールを思い浮かべると少しわかりやすい。ガードレールは普段はそこにあるのが当たり前で、ドライバーが強く意識することは少ない。けれど、車両が道路外へ逸脱しそうになったときには、衝撃を受け止め、被害を小さくするための重要な安全設備になる。ドルフィンもそれに近い。もちろん船を無理に止めるための壁ではないが、大型船が接岸や係留を行う際に位置を安定させ、ロープを支え、船体を守るための役割を果たしている。道路の安全を陰で支えるガードレールのように、港ではドルフィンが船の安全な動きを支えているのである。

 ドルフィンが活躍する場面としてわかりやすいのは、タンカーや大型船の係留だ。石油や液化ガスなどを扱う船では、必ずしも岸壁にぴったり横付けする必要がない場合がある。沖合に船を停め、パイプラインなどで陸上施設とつなげば、貨物の積み下ろしができるからだ。このような海上の停泊場所では、船を正しい位置に保つための設備が欠かせない。そこでドルフィンが、船をつなぎ留める支点として機能する。

 また、ドルフィンには接岸を補助する役割もある。大型船は、自動車のように簡単には止まれないし、横方向の動きにも弱い。風や潮流の影響を受けながら、ゆっくりと所定の位置に近づいていく。そのとき、船体を受け止める場所、ロープを取る場所、船の向きを安定させる場所が必要になる。ドルフィンは、そうした作業を支えるために配置される。接岸ドルフィン、係留ドルフィンなど、役割によって呼びわけられることもある。

 一般ドライバーから見ると、港の風景はコンテナやクレーン、倉庫に目が行きがちだが、物流は陸上だけで完結しているわけではない。海上から入ってきた船を安全に止め、荷役できる状態にする港湾設備があって、はじめてトラック輸送へとつながっていく。そしてドルフィンは、その接点を陰で支える存在なのだ。

 港を走るとき、海の上にぽつんと立つ構造物を見つけたら、それはただの障害物ではないかもしれない。派手さはないが、港湾の現場では欠かせない。ドルフィンは、海と陸の物流をつなぐ静かな働き者なのである。

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