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赤い道路に水しぶきが上がらない道路! クルマの安全のために進化する「舗装」の最前線 (2/2ページ)

赤い道路に水しぶきが上がらない道路! クルマの安全のために進化する「舗装」の最前線

日本の道路の約95%はアスファルト舗装

 クルマの重さを支え、走る・曲がる・止まるといった基本性能を引き出すうえでタイヤは不可欠。大きな役割を果たしていることは誰でも知っている。一方、タイヤとの接点である路面はどうだろうか? 乾いている/濡れている、凸凹が多い/少ない程度のことは認識していても、意識を向ける人は案外少ないかもしれない。

 ところが、タイヤ、ひいてはクルマの操縦性能や安全性能などに大きく関わるものとして路面=舗装はきわめて重要な要素。現在、自動車/タイヤメーカーでは路面とのマッチングも考慮した開発が進められているという。

 今回、国内の大手道路舗装会社である株式会社NIPPO(ニッポ)の協力を得て、道路・舗装に関するさまざまなお話をうかがうことができたが、ふだん当たり前のように走っている道路も、じつは、ありとあらゆる工夫が凝らされていることに驚かされる。

 まず、舗装路面の種類からいうと、日本では約95%が”アスファルト舗装”、残り約5%が”セメントコンクリート舗装”なのだという。いずれも路床(ろしょう)と呼ばれる基礎部分と、舗装部分から成る二重構造は同じ。大きな違いは、表層(ひょうそう)というタイヤが接する一番上の層に用いられている材質で、文字どおりアスファルト舗装は石油から取り出したアスファルトと小石の混合物、コンクリート舗装はセメントを主原料とするコンクリートで構成されている。

 セメントコンクリート舗装の場合、工期に多くの時間を要し、高コストながら耐用年数が長い(約20年)のに対して、アスファルト舗装はその逆。耐用年数こそ10年程度と若干短めながら、工期が短く低コスト、しかも補修性に優れる。各々にメリットとデメリットがあると言う。

摩擦係数(μ)は路面とタイヤの摩擦力

 今回は、日本では道路の大半に用いられているアスファルト舗装を中心に話を進めよう。

 アスファルトは石油から取り出した物質で、そのネバネバした粘性を利用して小石と小石を接着、形成したものが舗装部分に用いられる”アスファルト合材”と呼ばれるもの(ちなみにアスファルト舗装は黒く、コンクリート舗装は白いことで違いは一目瞭然)。高い強度を持ち、トラックやバスなど車重の重い車両が頻繁に通行するような道路でも、ヒビ割れたり、凹んだりといったダメージをほとんど生じない構造になっていると言う。

 また、表面を観察するとわかるが、表面には密に組み合わさった微細な石の粒(凹凸)が存在し、それが滑り止めの役割を発揮。自動車専門誌などではμ =ミューと呼ぶこともある、タイヤの滑りにくさを示す”摩擦係数”も、たとえば砂利道と比べると倍近くの数値になっている。

 ただし、ここで誤解をしてはいけないのは、摩擦係数は路面そのものの数値ではなく、路面とタイヤとの摩擦力だということ。つまり、整備された舗装でもタイヤの劣化などで本来のグリップ力を失っていれば、摩擦係数は低下するということだ。

 また、滑りにくい構造のアスファルト舗装とはいえ、それは乾燥路に限っての話。たとえば”密粒度舗装”と呼ばれる一般的なアスファルト舗装の場合、降雨で路面の表面に水膜ができると摩擦係数が低下、タイヤが滑りやすくなるのは避けようがない。いわんや、アスファルト舗装が完全に隠れてしまう積雪路や凍結路での摩擦係数の急激な低下は説明の必要はないだろう。

路面の水膜を瞬時に排除する雨に強い特別な舗装

「晴天時の5倍以上」とも言われる雨天での事故件数。タイヤと路面の摩擦係数が低下し、タイヤの路面をとらえる力が低下することがおもな原因だ。

 では、なぜμが低下するのか? タイヤのグリップ力は、路面とタイヤ接地面間の摩擦力だが、その接地面間に水が介在すると、水の分子がタイヤ接地面のゴムのミクロレベルの凹凸の隙間に入り込み、それがボールベアリングのように作用して滑りやすくなるというわけだ。

 一般的なタイヤの接地面には”トレッドパターン”と呼ばれるミゾが形成されていて、路面の水を排出するが、瞬時に乾かすことができないので、どんなに排水性にすぐれたトレッドパターンを持っていたとしても薄い水膜が介在するのは避けられない。とくに昨今頻発している1時間の降水量が60mmを超えるようなゲリラ豪雨では、タイヤの排水性能がまったく追いつかず、スリップ事故のリスクはさらに増している。

 そこで開発されたのが”排水性舗装”、”透水性舗装”と呼ばれる特殊な舗装技術だ。1980年代に開発されて以降、全国各地で普及が進んでいる。

 いずれも舗装面に微小な空間を設けることで路面の上の雨水を速やかに排出。水膜をできにくくし、タイヤを滑りにくくするというメカニズムだ。

 どちらも排水機能を持っている点で共通しているが、”排水性”が路上の水を不透水層を経由させて側溝などの排水施設に速やかに排出するのに対し、”透水性”は雨水を道路の構造内に浸透させて一時的に貯留、徐々に地中に排水する仕組みになっているのが違い。雨水による道路の内部構造物への影響を考慮して、現在は排水性の採用比率のほうが高いと言う。

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