
この記事をまとめると
■クルマに関連する保険には「自賠責保険」と「任意保険」がある
■自賠責保険は強制加入の保険だが被害を受けた側の「人」しか保障されない
■物損などは任意保険で賄うのが一般的なので加入が強くオススメされている
自賠責保険と任意保険の違いとは
自動車の損害保険は、2種類ある。一般に、自賠責保険とか強制保険と呼ばれる自動車損害賠償責任保険と、任意保険と呼ばれる自動車保険である。どちらも、損害保険会社などが扱っている。それら一般的な呼び名が、ふたつの自動車損害保険の位置づけを表している。
自賠責保険は、新車登録の際に強制的に加入し、かつ車検の折に更新することで、期限切れにならない制度になっている。任意保険は、個人の判断で加入するかしないかを決める。ちなみに自動車保険の加入者は、75%ほどといわれ、100%ではない。
なお、どちらも同じ「保険」という扱いであるから、「強制的に加入させられる自賠責保険を契約していれば、任意保険に入らないでも大丈夫ではないか」と思うのかもしれない。しかし、現実には不十分と考えられる。
理由は、自賠責保険が対象とする補償は、事故の相手となる対人だけで、物の損害に対する補償はない。なおかつ、対人賠償の上限額は、死亡が3000万円、後遺障害による損害が4000万円だ。後遺障害は、程度によって75万円からと幅がある。
3000万〜4000万円の上限額は、かなりの金額に思えるかもしれないが、過去に起きた交通事故による高額賠償では、死亡が5億円超え、後遺障害が4億円を超えた事例がある。自賠責保険の上限のざっと10倍の金額が請求されている。
そこで万一に備えるため、任意保険がある。
任意保険の対人傷害補償は、無制限という条件を選べる。自賠責保険で補償しきれなかった額を、こちらで補完できる。ほかに、任意保険では人身傷害が自動的に付帯される場合があり、これは、運転している本人はもちろん、同乗していた家族や友人・知人などの傷害を補償してくれる。
事故にあえば、相手だけでなく自分も、また同乗者も負傷するなどの可能性は高く、これを自賠責保険では補償できない。自賠責保険は、あくまで相手の損害を補償する目的だ。理由は、日本でクルマの利用が増えだし、被害者救済のため1955年(昭和30年)に制定された対人補償制度だからだ。事故を起こした側の補償は考えられていない。
任意保険では、自分のクルマの損傷を修理する車両保険や、壊したガードレールや店舗などに対する対物保険も選ぶことができ、交通事故全般に対応している。
一方で、交通事故件数が多い傾向とされる若年層や高齢者などは、支払う保険料が高くなる傾向にある。しかしそれは、未加入を増やす懸念も残り、保険料の設定は、収支の観点から自動車保険にとって重要な課題となる。
そのひとつの対応策となるのが、インターネットを通じての加入契約だ。損害保険会社は人手を省き、加入者を確保する手立てになる。ここで注意すべきは、安さに目を奪われ過ぎないことだ。相手との交渉などを含め、保険会社の事故対応支援や弁護士の介入など、手続きにまつわる手間や時間への目線も大切だ。
ところで、対人事故での賠償額が上昇している状況において、なぜ、現在の任意保険を、自賠責保険のように強制的に加入させないのかとの疑問があるかもしれない。
人の命の補償は、上限が無制限の任意保険が重要だが、対物や車両などの補償は、義務と言い難い側面があるだろう。また、任意保険のような保険料を、すべて利用者が負担することの難しさもあるかもしれない。
交通事故死者数は減少傾向ではあるが、事故自体はなお30万件近くある。クルマの保有台数8億3000万台近くに対し、300台に1件交通事故が起きているとの計算になる。0.33%という事故の可能性を小さいと考えるかどうか? 任意保険の加入を真剣に検討する意味はあるのではないか。
