
この記事をまとめると
■東京都がバス運転士に「バス運転士定着支援特別手当て事業補助金」を交付した
■人を集めるために賃金アップを図っているが人が集まるほどの効果は得ていない
■人手不足に悩む一方で自動運転などの実験を進めており動きに矛盾が生じている
バス業界に人を集めるために補助金を再交付
2026年6月25日、東京都は「バス運転士定着支援特別手当て事業補助金」という制度を開始すると発表した。これは、1年目から10年目までの勤続年数の運転士を対象者とし、路線定期運行を行う事業者を対象事業者としている。内容としては対象運転士ひとりあたり月額1万円(年間12万円)を支給するというもの。この手当てを支給することで、公共交通としてのバス事業が持続可能なものとなるようにしていきたいとのことである。筆者から見れば「またか!?」という話である。
たかが1万円、されど1万円ともいえるので、もらえないよりマシという話にもなるのだが、確かにおしなべて全国のバス運転士の給与は、仕事のわりには満足のいくレベルではない代表のような金額となっている。今回の補助金はすでに働いている運転士を対象としたものだが、「所得アップさえすればバス運転士を志望する人が増えるか」といえば、思ったほど効果は期待できないように見える。
先日バス業界では、ある事業者の「土曜・日曜完全休み」といったキャッチの求人広告で騒然となった。公共交通機関の一翼を担うバス業界は、1年365日事業者としては稼働を続け、運転士それぞれは運行シフト表に基づき平日か、土曜か日曜かに関係なく運行業務の合間に公休日が設けられる。シフト表に基づいた勤務はスーパーなどでもお馴染みなのだが、結果として年間休日数が少なめになる傾向もあるし、土曜や日曜に開催される子どもの学校行事になかなか参加することができなかったりする。
そのようななか、前述した事業者は交通の便の悪いところにある倉庫と最寄り駅を結ぶ企業送迎を主な業務としていることもあり、企業が休みの土曜・日曜が完全休日となり、さらに年間休日数も大手企業並みと、業界に激震が走ったのである。
また、全国各地でバス運転士の合同求人説明会が開催されているのだが、そのような場所では運行業務負担の軽減にどれだけ尽力しているかというのを、就職先として重視するバス運転士志望者も増えてきているとのことであった。バス運転士の仕事は安心・安全に利用客を目的地まで送り届けることになる。そのために細心の注意を払ってステアリングを握ることは、一般乗用車のそれよりはるかに心労が重なるというもの。
そのため、安心・安全な運行をフォローするためのあと付け安全運転支援デバイスの取り付けなどに積極的に取り組んでいる事業者は、全般的に働き手不足のバス業界にあっても離職率もそれほど高くなく、比較的安定していることもまた事実となっているのである。
