
新車への乗り換えを促す残クレの無限ループ
新車ローンのひとつ、残価設定ローン(以下、残クレ)の利用率はいまや全体の50〜70%と言われている。車種ごとに数年後の残価=残存価値を設定。新車の購入価格から残価を差し引いた分を分割返済する仕組みだ。たとえば3年後の残価が新車時の50%だとしたら、金利を含めて残りの50%を3年間で返済する。メリットは通常のローンより月々の支払額を大きく減らせる点にある。
返済期間を終えても基本的に自分のクルマにならず、返済満了時に、①クルマを販売店に返却する。②残債を完済し、買い上げて自分のものにする。③再ローンを組んで残債を支払い続けて最終的に自分のものにする。以上3つの選択肢から選ぶことになる。このなかでメーカーおよび販売店にとってもっともメリットが大きいのは、①の車両を返却してもらうことだ。
返済満了時にクルマを返却してもらって、再び残クレで新車を購入してもらえば、また新たな売り上げとなるうえ、整備状態など素性の確かなクルマも入手可能で中古車部門も活性化する。まさに”一石二鳥”だからだ。ユーザーからすると、「返却する」というより「下取りに出す」感覚に近いかもしれない。
昨今、新車の耐久性の向上で乗り換えの周期が長くなっているうえ、安全装備の充実などによる値上げなどで、新車の売り上げ台数は下降傾向にある(およそ30年前の70%前後)。メーカー/販売店にとって残クレは、ユーザーに定期的な乗り換えを提案できるプランであることは間違いない。しかし、それはメーカーや販売店側の都合であって、我々ユーザーにとって肝心なのは月々の支払額を抑え、しかも返済満了時に少しでも損をしないことだ。
そこで今回、前述の①から③のなかから最良と思われるパターンを考えてみたい。
再ローンを組めたとしても高額返済の短期完済
まず、②の「残債を完済、買い上げて自分のものにする」だが、特別な理由でもない限り、いっぺんに完済できる経済力がある人が、わざわざ金利を払って残クレを利用するケースは少数だろう。
なるべくなら避けたいのが、③の「再ローンを組む」パターンだ。なぜなら、再ローンでは新車購入時のように4年や5年といった長期ローンを組めることはマレで、大半が最長2年(24カ月)。しかも残クレのときより金利が1%程度高くなるのが一般的だからだ。
たとえば新車価格が300万円のクルマで100万円を頭金にした場合、ローン元金は200万円。仮に5年後の残価が40%だとすれば、残り60%。60回分の月々の支払い(均等払い・金利別)は約3万3000円。まあまあ無理のない支払額に思える。ところが、残価分の120万円を24回の均等払いにしたらどうか? 金利は別で一気に約1万7000円の増額、5万円を月々支払うことになるのだった。
これでは、毎月の支払額を抑えることが本来の目的である残クレの意味が薄れてしまう(ただし、再ローンも頭金を入れて月々の支払額を抑えることは可能)。
月々の支払額を抑えて現金や通常のローンでは手の出ない高額車を手に入れられるのが残クレの大きな魅力だが、返済満了時以降のことも考えた支払いプランが大事だということ。また、残価が高いということは、月々の支払いが抑えられる半面、満了以降も乗り続けることを考えた場合、大きな残金を背負うということも忘れてはいけない。
ちなみに、残クレでは金利が高く設定されているケースもあり、販売店に「その分、残価を高くしていますから」と言い訳されることもあるようだが、金利は支払い分と残価分の両方にかかっている。結局、月々の支払い額が高くなることに変わりはないのだから、しょーもない言い訳でしかない。
