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世界初の自動車は変速機なし! それから140年の刻を経て再び変速機が消滅する世界が訪れようとしている!! (2/2ページ)

世界初の自動車は変速機なし! それから140年の刻を経て再び変速機が消滅する世界が訪れようとしている!!

世界初の自動車には変速機は存在しなかった

 いまから約140年前の1886年、ドイツのカール・ベンツがガソリンエンジン自動車を発明した当初、その車両にはトランスミッション(変速機)が備わっていなかった。では、当時はどのようにして走行していたのだろう。

 搭載されていた単気筒エンジンの排気量は約1000ccで、その動力はベルト駆動によって後輪へと伝えられていた。変速機を備えていなかったため、最高速度は時速15km/hにとどまる。それでは実用にならないと感じるかもしれないが、この速度は当時の馬車が走る速さとほぼ同じである。19世紀末の日常において、馬車と同等の移動が可能で、しかも馬を飼う必要がない。そうした背景から、パテント・モトール・ヴァーゲンが走る姿を見た沿道の人々は、「馬なし馬車だ!」と叫んだという。

 ここからガソリンエンジン車の歴史が始まる。ただし、それを本格的に普及させたのはフランスだった。さらにフランスでは、自動車レースも行われるようになる。そうした流れのなかで、パナール・エ・ルヴァッソールは変速ギヤを備えた車両を開発し、パリ〜ボルドー〜パリを往復するレースでトップでゴールした。しかし、このクルマはふたり乗りであったため規定違反を問われ、結果として2番目にゴールしたクルマに優勝が譲られた、という逸話が残されている。

 当初のトランスミッションは、ギヤ(歯車)の大小の組み合わせをドライバーが手動で切り替える方式だった。ただし、シンクロメッシュと呼ばれるエンジン回転数の差を調整する機構が発明される以前は、操作はかなり難しかったと考えられる。そのため、ギヤの切り替えを自動で行うオートマチック・トランスミッション(自動変速機)への期待は、早くも19世紀末の段階で高まっていた。それを発案したのが、英国のランチェスターである。

 それは現在われわれが思い浮かべるATに近い、遊星歯車を組み合わせた構造を採っていた。ただし、トルクコンバーターと呼ばれる流体継手は用いられていなかった。遊星歯車とトルクコンバーターを組み合わせたいわゆるATを最初に実用化したのは、米国のゼネラルモーターズ(GM)である。1940年、オールズモビルにオプション装備として設定されたこの方式は、その後アメリカ車を中心に普及し、米国市場を重視する日本車にも採用されていくことになる。

シンクロメッシュによるマニュアルシフトの登場

 欧州では、マニュアルシフトが現代にいたるまで主流であり続けている。永年にわたって愛用されてきた背景には、変速時に生じるエンジン回転数の差を吸収する「シンクロメッシュ」と呼ばれる機構が、手動トランスミッションに採用され、扱いやすさが大きく向上したことがある。

 現在のマニュアルトランスミッションの歯車は「常時噛み合い式」という。大小の歯車の組み合わせが複数用意されており、それぞれの歯車は常に噛み合った状態にある。ドライバーは、そのなかから必要な組み合わせを選択することで変速を行う。このように歯車同士が常時噛み合っている構造であることから、常時噛み合い式と呼ばれる。

 こうした大小歯車の組み合わせを切り替えるとき、ギヤ比の違いによるエンジン回転の差を適切に合わせずに切り替えると、車両の挙動がぎくしゃくしてしまう。そこで、ギヤの組み合わせを変更する際にエンジン回転数を自動的に調整する役割を担うのが、「シンクロメッシュ」と呼ばれる機構だ。

 シンクロメッシュは、変速時に傾斜面を持つ部品で歯車同士の回転数を自動的に揃え、回転差を吸収する機構。接触面が徐々にすり合わされ、双方の回転数が一致していくことで、変速を滑らかに行うことができる。

 もしシンクロメッシュがなければ、運転者が自らエンジン回転数を調整しなければならない。一度シフトをニュートラル(N)に入れ、アクセルを操作してエンジンを空吹かししながら回転数を合わせる必要がある。これを怠ると走りはぎくしゃくし、ひどい場合には変速機からギヤ鳴りが発生する。

歯車を使わない変速機CVTの普及

 マニュアル式にせよオートマチック式にせよ、これで変速機構はひと通り揃った。その後、それぞれに改良が重ねられていくが、2ペダルという意味での自動変速は、ほかにも手法が生まれている。

 日本では、軽自動車などの小型車を中心に採用が広がったのが、CVT(ベルト式無段変速機)だ。CVTを最初に採用したのは、オランダの自動車メーカーであるDAFで、同社は「バリオマチック」と呼ばれる無段変速機を開発した。ただし、広く普及するには至らなかった。その後、日本国内ではスバル・ジャスティに採用され、続いて日産マーチにも搭載されたことで、CVTの採用車種は広がっていった。今日では、軽自動車の自動変速は、ほぼすべてがCVTとなっている。

 CVTは、エンジン側と駆動輪側のそれぞれに円錐形のプーリーを備え、そのどの位置にベルトを掛けるかによって変速を行う仕組みだ。円錐の軸中心に近い部分を使えば小さな歯車を組み合わせたのと同じ効果が得られ、外側を使えば大きな歯車を用いた場合と同様の効果となる。プーリーの有効半径を連続的に変化させるため、歯車のような段付きがなく、滑らかな無段変速が可能となる。

 実際の使い勝手としては、アクセルペダルを踏み込むと、まずエンジン回転数が上昇し、その後に遅れて車速が伸びていく傾向がある。エンジン回転が先に高まることによる騒音に加え、回転数と車速の変化が直感的に一致しないため、ドライバーは違和感を覚えやすい。

 そこで現在のCVT車は、歯車式トランスミッションによる加速感に近づけるため、エンジン回転数と車速の伸びが連動しているように感じさせる制御が行われている。

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