
この記事をまとめると
■日本の銀座では1時間数千円というコインパーキングも珍しくない
■世界に目を向けるとクルマ1台分で1億円以上という駐車場も存在する
■国の土地が限られいる都合から資産として扱われていることが高額な駐車場の背景にある
海外では1枠1億円以上の駐車場も珍しくない
銀座のコインパーキングに愛車を停めて、ちょっと用事を済ませて戻ってきたら、目玉が飛び出るような金額を請求されてしまった。そんな苦い経験をおもちの方は、少なくないかと。実際、銀座周辺の一等地にある駐車場では、1時間あたり数千円、特定日の1日上限が3万円を超えることも珍しくありません。が、世界の超富裕層たちから見れば、銀座でさえ可愛らしいものかもしれません。じつは日本の常識を飛び越え、クルマ1台分の駐車スペースが1億円以上というケースもあるのだそうです。
●坪単価は銀座の比じゃない香港
香港の超高級住宅街として名高いビクトリア・ピーク。ここに建つ格式高いコンドミニアム「マウント・ニコルソン」の地下駐車場は、クルマ1台分、およそ12.5平方メートルにすぎない駐車マスが、なんと約130万ドル(当時のレートで約1億4100万円)で取引されました。
「1億4千万円もあれば、フェラーリの最新12気筒モデルを、ガレージ付きの家と一緒に買えるのに!」と突っ込みたくなってしまいますが、これが香港のリアル。平地が極端に少なく、それでいて富裕層の人口密度が異常に高い場所です。そのため、駐車マスそのものが完全に「金融商品(投資対象)」と化しているのだとか。投資家が、値上がりを期待して駐車スペースだけを転売し合うという、熾烈なマネーゲームが日常茶飯事で行われているのです。
●世界の一等地はマンハッタンにあり
また、アメリカのニューヨーク・マンハッタンへ目を向けても、香港同様にドラマチック。お洒落なブティックや高級レジデンスが立ち並ぶソーホー地区などでは、地下の駐車スペースが「クルマ用コンドミニアム」として、1台あたり100万ドル(約1億〜1億2000万円)程度で分譲販売されるのだとか。
価格も驚きですが、さらにビックリするのは1平方メートルあたりの単価に換算すると、上層階にあるセレブ向けの高級ペントハウスの坪単価を、駐車場が上まわってしまうという逆転現象。大金もちが優雅に暮らすリビングよりも、ただクルマを置いておくだけの床のほうが高いだなんて、驚きを通り越して開いた口が開いたままになりそうです。
●新興リッチは駐車場もゴージャス
そして、アジアの金融センターであるシンガポールにはクルマ好きの心を鷲掴みしてくれる駐車場がありました。超高級タワーマンション「ハミルトン・スコッツ」では、居住者を乗せたクルマごと大型のエレベーターに乗り込み、高層階にある自分の部屋のリビングのすぐ隣に、ガラス張りで駐車できるシステムを採用。もはや駐車場というより、プライベートな美術品展示スペースに等しいかと。
当然、そのシステムを維持するためのコストは、物件価格に天文学的な数字となって跳ね返っています。そもそもシンガポールは、車両の登録権利(COE)や税金が世界一高いことで知られる国。クルマをもつこと自体が最大の特権である国だからこそ、そのステータスシンボルとしての「魅せ方」にも、私たちの想像を絶するコストと美学が注ぎ込まれているわけです。
ともあれ、どうして彼らはただのコンクリートの床に1億円もの大金を支払うのでしょうか。理由はとてもシンプルで、これらが「物理的に増やせない限定品」だから。島であるマンハッタンや香港は、これ以上土地を広げることができません。さらに日本のように「月極で借りる」文化ではなく、不動産としてしっかりと登記し、一生モノの資産として所有・売却できる仕組みがまかり通っていることも大きな理由かと。
数十億円のペントハウスをキャッシュで買うセレブたちにとって、1億円の駐車場は、お気に入りの高級時計を1本買うような感覚なのでしょう。銀座のコインパーキングで「やっぱり高いなぁ……」とため息をついているうちは、私たちはまだまだ平和で健全な世界の住人なのかもしれません。
