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絶望の1600kmドライブから一転! スウェーデン「サーブ博物館」でクルマ好きのテンションが爆上がりした理由

絶望の1600kmドライブから一転! スウェーデン「サーブ博物館」でクルマ好きのテンションが爆上がりした理由

高いモチベーションで渡航も不運続きで気分は最悪に……

 スウェーデンの南東部に位置するトロルヘッタンにあるサーブ自動車博物館を訪れたのは2024年の6月。15年余り続けてきた海外自動車博物館訪問も、古希を前に一段落させようと、それまでに訪れていなかったスウェーデンの自動車博物館を訪ねてみることを思い立ったのだ。ご存知のようにスウェーデンは、新しい企業博物館のワールド of ボルボを運営するボルボとサーブの2トップで自動車工業を牽引してきた歴史があり、また大型トラックメーカーであるスカニアも企業博物館を開設しているというから、自動車博物館フェチとしては出発前から大いにモチベーションが高くなっていた記憶がある。

 しかし……。隣国デンマークのコペンハーゲン空港からレンタカーをドライブし、オーレスン橋を渡ってスウェーデンに入国したまでは良かったが、初日に訪れる博物館と2日目に訪れる博物館を取り違えて記憶したため、2日間で約1600kmものロングドライブに及ぶタフな取材行が始まった。

 翌3日目に訪ねたスカニア博物館は、どうやら国民の休日とのことで臨時休館。さらにその後に訪ねた国立科学技術博物館はクルマ関連の展示が一切ないとあって、気分はもう最悪になっていく。

屋外駐車場で行われていたミーティングに大興奮

 ところがツアー4日目、朝一番でサーブ自動車博物館を訪ねて気分は一新、モチベーションも爆上がりとなった。その理由は博物館に収蔵されている車両の質と量が素晴らしかったのは当然のことながら、展示スタイルがいかにも”博物館的”だったこと。さらに見逃せないのは博物館の館外の広いパーキングヤードにも、種々様々なサーブが集結していたことだ。

 これはたまたまこの日、同博物館恒例となったイベント「サーブ自動車博物館フェスティバル」が開催されていたからで、今回のテーマは「サーブ9000生誕40周年記念」だったが、サーブ9000だけではなく歴代モデルが大集結。まさに展示ホールだけでなく建屋の外でも博物館が展開されていたのだ。ホールのなかとは違い、建屋の外の車両にはもちろん車名やスペックなどが記載された展示パネルなどなかったから、帰国後に写真を整理する際に車名が解らず資料をあさり、サーブの歴代モデルに詳しくなったのは事実だ。

 そんな建屋の外の展示車両は、また別の機会に紹介することにして、ホールに展示されていたなかで、印象に残ったモデルを紹介していこう。まずはサーブの記念すべき初号機、1949年に試作されたサーブ92001。通称”Ursaab=元祖サーブ”から。そのネーミング通り、航空機メーカーだったサーブが第二次大戦後の事業拡大を狙って自動車産業への進出を決定、最初の試作モデルが、この92001だ。コンパクトなボディは流線形のモノコックで、軽量化と空気抵抗低減を追求した”飛行機屋”らしい設計。

1949 Saab 92001 “Ursaab”
航空機メーカーだったサーブが自動車産業への進出を目指して1946年に試作した”Ursaab(元祖サーブ)”の愛称を持つ92001。流線型のボディに、空力を追求した”飛行機屋”らしい設計コンセプトがうかがえる。

  

1959 Saab “Monstret”
サーブ92の後継モデル、93をベースにエンジンを2基搭載した実験モデル。写真ではわかりにくいが、2サイクルの3気筒エンジンを2基、横置きで直列に搭載している。

  

1950 Saab 92 Highly Streamlined 2-Door Coupe
プロトタイプの92001を熟成させて1949年に完成したサーブ初の市販モデルがサーブ92。2サイクル2気筒764ccをフロントに横置きに搭載し前輪を駆動。最高出力は25馬力にすぎなかったが、空力にも助けられ最高速は105㎞/hを達成。

  

1963 Saab 96 The Winning Car of ’63 The Monte Carlo Rally(Replica)
ラリーでの活躍が目立ったサーブのなかでも、1960年代初めの96によるラリー活動は素晴らしいの一言。750ccの小排気量で、1960年からRACラリーを3連覇、1962年からモンテカルロラリーを2連覇しているのだから!

 またスポーツクーペのソネットが有名だが、その初代はライトウエイトなオープン2座。やはり軽量コンパクトは永遠の正義ということだろう。また、古くからモータースポーツにも参戦していたサーブ。1963年モンテカルロラリー優勝マシンのレプリカも展示してあった。

1956 Saab Sonett
ラリー競技で活躍していたサーブ93をベースに、サーキットレースでも活躍できるように開発されたオープン2シーターのコンパクトスポーツカーがソネット。2サイクル3気筒エンジンをフロントに搭載し、駆動方式は93と同様の前輪駆動だ。

  

1967 Saab Sonett II
北米向けに開発された2座クーペのコンパクトスポーツが1966年に誕生したソネットII。ソネットの2座オープンから2座クーペにコンセプトを一新したが、軽量・コンパクトは継承されている。

  

1970 Saab Sonett III
ソネットII(正確にはその後期モデルのソネットV4)の後継として1970年に登場したモデルがソネットIII。リヤをハッチバックにして3ドアクーペに。北米で不人気だったデザインの変更がおもな改良ポイントだった。

  

1976 Saab 96 V4 Rally The Winning Car of ’76 The Swedish Rally
サーブ96にフォード・タウヌス用のV4を換装した96 V4もまたかわいい外観に似合わずハードなラリーで活躍した。1976年のスウェディッシュ・ラリーではパー・エクルントがスティグ・ブロンクビストを従えて1-2フィニッシュを飾っている。

  

1980 Saab 900 Turbo 4-Door Sedan
1960年代から主力車種に位置づけられてきた99の後継モデルが、1978年に登場したサーブ900。99をベースに北米の衝突安全技術に対応。1993年に登場したオペルをベースとする第2世代と区別するために、「Classic900」との呼び名も。

  

1982-85 Saab 99 Turbo Group A
サーブとして初のミディアムクラスの1台が1968年に登場したサーブ99。1978年にはターボ仕様も設定されている。当時のツーリングカー規定であるグループA仕様で各地のラリー選手権にも参戦し、活躍した記録が残っている。

  

1983 Saab 900 2-Door Cabriolet-Prototyperna
1978年に登場したサーブ900シリーズに1986年に追加設定されたのが2ドア・オープンシーターのカブリオレ。北欧ではお洒落というよりも日差しを享有するための豪華装備ととらえられているとか。でもお洒落だよな。

  

1986 Saab 900 T16 CD Polisbil 4-Door Sedan
サーブ900にターボエンジンを搭載したT16をベースに警察車両に仕立てられた1台。最高出力はベースモデルの110馬力に対して155馬力までアップしているから、逃げ切るのは容易じゃない。

  

2004 Saab 9-2 X Aero Based on Subaru
サーブがGMの完全子会社となり、またGMが富士重工業の大株主だった経緯もあって、インプレッサ スポーツワゴンのバッジエンジニアリング車として誕生したサーブ9-2Xエアロ。当地では安全性能評価が高かった。

  

2005-08 Saab 9-7 X Compact Luxury Crossover SUV manufactured by General Motors
9-2 Xは日本の富士重工業製だが、こちらは北米のGM製。大柄なボディは”サーブ感”が乏しいが、サーブ共通の顔立ちを見ればその出自は明らかだ.

サーブ自動車博物館 Saab Car Museum

Akersjovagen, 461 53 Trollhattan, Sverige.
https://saabcarmuseum.se
開館時間は11:00~16:00/入館無料
※毎日開館

  

  

 スウェーデン国内にはボルボのワールドofボルボや今回紹介するサーブのサーブ自動車博物館、また大型トラックメーカーであるスカニアのスカニア博物館という3つの企業博物館があり、さらに民間の自動車博物館も充実しているから、1週間くらいのスケジュールを組んでレンタカーで巡りたい。アクセスとしては首都のストックホルムに空路入国するのも手だが、じつは隣国デンマークのコペンハーゲンから陸路でマルメ経由で入国するのもおすすめ。コペンハーゲンとマルメを結ぶオーレスン橋も一見の価値アリだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年10月号」の記事を再構成して掲載しています

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