なぜスイスの片田舎に「トヨタ2000GT」「ランクル40」「スバル・ドミンゴ」が!? 情報の少ないマイナー博物館を訪れたらお宝だらけの衝撃!!
“残り物には福がある”を体現する想像以上の充実度
ドイツやフランスとの国境に面したスイスのバーゼルから1時間弱の近郊、サフェンヴィルにある自動車博物館、エミール・フレイ・クラシックスを訪れたのは2024年6月のこと。それまで訪れたことのなかったスウェーデンの博物館をまわったあと、イギリスとフランス、そしてドイツ国内で、訪れ損ねていた自動車博物館を巡る”落穂拾い”のツアーを計画した際に、フランスからモナコ、イタリア、そしてスイスを経由してドイツに向かった。でも、ただ通過するだけではもったいないとの思いからスイスでも新たに何カ所かの自動車博物館を巡る計画を立てた。そのなかにあったのがエミール・フレイ・クラシックスだった。

博物館歴訪のツアーを計画する際には、雑誌や書籍、あるいはインターネットで情報を探しながら選び、その位置関係を考えながらスケジュールを組んでいく。さすがにインターネットで見つけた情報ではあまりないのだけれど、「書籍などで調べた博物館がじつは数年前に廃館になっていた」というのがちょくちょくあるケース。
反対に、ネットで見かけた数行の情報を頼りに訪ねてみたら、驚くほどの質と量で収蔵・展示車両が充実した博物館に出会うこともある。まさに「馬には乗ってみよ」、「人には添うてみよ」もとい、「博物館には行ってみよ」ということなのだろう。この旅でも目指していた自動車博物館が廃館になっていたケースにも遭遇したのだが、エミール・フレイ・クラシックスに関してはネットでの情報どおり、そして期待していた以上の展示内容で気を良くした記憶がある。

レアな日本車やレーシングカーを展示
もともとは繊維関連の工場だった3階建ての建屋をリノベーションして展示ホールとし、隣接する管理棟にも数台のコレクションを展示。博物館のオープンは午前10時からとなるものの、カフェが併設されていて、そちらは午前7時半にはオープンする。ただ実際には博物館のご厚意で9時には撮影を始めることができた。
収蔵展示車両に話を移すと、極上のトヨタ2000GTやコロナ1600Sとスバルのドミンゴ、三菱のセレステ、数少ないレーシングカーではシェブロンのB34が印象に残っている。じつは、帰国した早い段階で、オートメッセウェブでも速報として簡易的に紹介していたのだけれど、そのときはまだトヨタ・エンジンのF2車両ということで、その実態はうまくつかめていなかった。しかしこの個体がF2というのは誤りで、じつは、本来シェブロンB34が開発された目的であるフォーミュラ・アトランティック(FAt)仕様。搭載されているトヨタ製エンジンはイタリアのノヴァ・モーター社で2T-Gをベースに製作されたものだった。F3ではとてもよく知られた存在だが、FAtではそれほどポピュラーな存在ではなかったが、それでも実績を残した名機だ。美しく仕上げられたトヨタ2000GTは左ハンドルの輸出仕様。レストアモデルとしての完成度も最上級だ。
Chevron B34 Toyota
2T-Gをベースにノヴァ・モーター社によって製作されたエンジンを搭載するシェブロンB34のフォーミュラ・アトランティック仕様。
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1968 Toyota 2000GT
展示フロアの”華”となっていたのは1960年代の日本車を代表する高級スポーツカー(GTカー)であるトヨタ2000GT。左ハンドルの輸出仕様でレストアの完成度も最上級だが、並み居る欧米の名スポーツカーたちをも圧倒する存在感があった。
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1977 Mitsubishi Celeste 1600 ST
ギャラン・シリーズの派生モデルで、GTOの弟分としても知られるギャラン・クーペFTOの後継モデルがランサー・セレステ。文字どおりランサーの3ドアハッチバック・モデル。秋吉久美子をイメージキャラクターに若年層に高人気だった。
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1983 Subaru Libero(Domingo) 4WD Cabover Microvan
国内でも唯一、リッターカーのミニバンとして注目を集めていたスバル・ドミンゴ。その欧州向け輸出仕様が、こちらのスバル・リベロ。このサイズの4輪駆動車は現地では画期的で、その高い悪路走破性も魅力のひとつだった。
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しかしそれよりも、より驚かされたのが”珍しい”日本車、スバルのドミンゴや三菱のセレステが収蔵展示されていたこと。国内の自動車博物館でも見かける機会が少なくなってきたモデルが、遠くスイスの地で博物館に展示されていることを、少し自慢に感じたことを記憶している。
1936 SS Jaguar Tourer
流麗でスマートなボディデザインが大きな特徴となっているジャガー。SS(スワロー・サイドカー)カンパニーから発展した「SSカーズ・リミテッド」はそのジャガー社の前身で、このモデルからジャガーを名乗り始めた。
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1950 Jaguar XK120 Roadster
ジャガーとして戦後初のモデルとなったスポーツカーがXK120。戦前モデルとはスタイルを一新。1980年代まで生産される名機、直6DOHCのXKエンジンを搭載。最高速度120mph(約193㎞/h)を目指したことが名称の由来だ。
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1960 Alfa Romeo Giulietta Sprint
いままでに2度の復活を果たしているアルファロメオ・ジュリエッタの初代モデル。最初に登場した、このスプリント(2ドア・クーペ)がイメージリーダーとなり、多くのファン魅了してきた。軽量コンパクトな魅力は不滅だ。
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1965 Toyota Corolla 1100 KE10 2-Door Limousine
上級小型乗用車のコロナとエントリーモデルだったパブリカの中間に位置するクルマとして登場したカローラ。先発でライバルだった1リッターのサニーに対して1.1リッターエンジンを搭載し、「プラス100ccの余裕」をキャッチコピーにベストセラーに上り詰めた。
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1967 Aston Martin DB6
初代ボンド・カーとして一躍有名になったアストン・マーチンDB5の後継が1965年に登場したDB6。DB5の後継モデルというよりはマイナーチェンジ版で、2ドアクーペのほか、4座オープンのドロップヘッドクーペもラインアップされていた。
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1968 Rover P5B 3.5 Litre 4-Door Saloon
上質なアッパー・ミディアム・サルーンで故マーク・サッチャー首相の愛車としてもよく知られていたローバーのP5B。これはいまもヒストリックカーとして人気の高い「ローバー3リッター」として1958年に登場したシリーズの最終モデル。
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1971 Citroen SM 3-Door Hatch-Back Coupe
トラクシオン・アバンでFWDの先駆けとなったシトロエンが、より高性能なFWDを目指し、当時提携関係にあったマセラティ製のV6ユニットを搭載した”実験的”なモデルが、1970年に登場した3ドアハッチバック・クーペのシトロエンSMだ。
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1984 Toyota Land-Cruiser J40 Full-Size 2-Door SUV
トヨタのクロスカントリーモデルとして長い歴史を持つランドクルーザー。3代目として1960年に登場したJ40は四半世紀にも及ぶ長寿モデルで、こちらは最終モデルとなる1984年式のショートホイールベースのハードトップ仕様。
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2004 Jaguar XJ8 Executive 4.2
イギリスの高級車メーカー、ジャガーのFセグメント(最上位カテゴリーの大型セダン)。展示された個体は2003年のフルモデルチェンジでオールアルミボディを採用したX350系で、新型の4.2リッターV8エンジンを搭載したXJ8の04年モデル。
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エミール・フレイ・クラシックス Emil Frey Classics
Emil Frey Classics AG. Bahnhofplatz 2, 5745 Safenwil, Switzerland.
www.emilfreyclassics.ch
※日曜休館。開館時間は10:00~17:00(土曜は~16:00。クラシックカフェは07:30~)
入館料は10.00スイスフラン(邦貨換算、約1860円)
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エミール・フレイ・クラシックスはスイス連邦鉄道のサフェンヴィル駅に隣接しているから”鉄分”補給も可能だし、鉄道を使っての訪問もまた一興。しかしこの博物館の近隣には著名な自動車博物館も少なくないから、そちらも効率的にまわろうとするなら、やはりクルマでの訪問一択だ。館内のクラシックカフェは午前7時半にはオープンするから、お茶とケーキの軽い朝食をとりつつ博物館開場を待ち、撮影終了後にルツェルンのスイス交通博物館に向かい、夜にはフランクフルトの安宿に投宿したのは慌ただしくも懐かしい思い出だ。
※本記事は雑誌「CARトップ2025年12月号」の記事を再構成して掲載しています
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