F1マシンが空を舞う! 6000km走破で見つけた米国「ロータス博物館」の常識破りな展示に絶句
長旅の末にたどり着いたクルマ好きの桃源郷
米国南東部に位置するアラバマ州の州内最大都市、バーミンガム近郊にあってF1マシンを含む多数のロータス車を収蔵展示することで知られるバーバー・ヴィンテージ・モータースポーツ博物館を訪れたのは2019年の6月。米国南東部から中部にかけての博物館を歴訪する3週間余りの取材行で、シカゴのオヘア国際空港を出発してから19日目のことだった。
いつものように、朝にホテルを出発してクルマで走って博物館に到着すると取材し、終えると次の博物館を目指してロングドライブ。その日最後の取材を終えたら、その日の夜に宿泊するホテルを目指してまたまたロングドライブ。行程のほとんどがその繰り返しで、19日目となるとアラ還オヤジの体力の限界近くまで疲弊した状態での取材となった。

ちなみに、オヘア国際空港から同博物館までは直接向かえば700マイル(約1120km)足らずだが、取材メモによると同博物館までのマイレージは3730マイル(約6000km)にも上っていた。
19日の間にはレースの取材でホテルとサーキットの往復のみという日が5日もあったから、14日間で6000km近くも走った計算になる。それでも米国にある自動車博物館のうち1/3強をまわったにすぎないのだから、いかにアメリカ合衆国が広いかを思い知らされる。もちろん、そんな強行軍で博物館巡りをした自分自身にも驚いて(呆れて?)しまうのだが……。
閑話休題、博物館に辿り着くとまずは広大な駐車場に驚かされる。そして丘の上に立つモダンなビルディングにも。丘を登っていくとビルの向こうにはサーキットが拡がり雄大なパノラマビューが開けていて、クルマ好きやレースファンには堪えられないはずだ。ロケーションに恵まれた博物館だが、肝心の収蔵展示は?

あるものは立てられ重ねられF1マシンは空中に展示
ビルのメインエントランスを入ると正面右手に大きな吹き抜けが見える。そしてこのビルが敷地の高低差を利用して建てられていて、メインエントランスがじつは2階だったことが判明。そして見上げると、その吹き抜けには何台かのマシンが”空中”に展示されているのがわかる。

気を取り直して展示車両を見ていくと、ロータスが1948年に初めて生産したマークIから、初めて販売した1952年のマークVI、FRP製のボディとモノコックを採用したエリートなどの市販モデルだけでなく、ロータス初のF2マシンとなった1958年のタイプ12や、同じくF2でミッドシップタイプとなって3代目となる1962年のタイプ22などのミドルフォーミュラからF1マシンやインディカーなど、ビッグフォーミュラが勢揃いしていた。
1948 Lotus Mark Ⅰ(レプリカ)
コリン・チャップマンが、後に彼の妻となるヘイゼル・ウィリアムズの実家の倉庫で、オースティン・セブンのシャシーを補強しアルミ/べニア合板で構成したオリジナルボディを架装したマークI。オリジナルは所在不明でこれはレプリカだ。
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1952 Lotus Mark VI
ロータスとして初めて市販を前提に設計・開発されたのがマークVIで、その後継となったマークVII、通称「ロータス・セブン」へと発展していくロードスター。細身のボディで、前輪に装着されるサイクルフェンダーが特徴的だ。
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1955 Lotus Mark XI
約270台もの台数が販売され、初期のロータスの経営基盤を築くことになったスポーツカーのマークXI、通称「ロータス・イレブン」はスペースフレームにアルミのカウルを被せたレーシングスポーツ。原点のマークVIIIとともに見逃せない。
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1957~63 Lotus Elite Type14 “Fibreglass Monocoque”
革新的な技術を盛り込んでクルマのコンセプトを考え出すチャプマンは、1957年にガラス繊維で強化したプラスチック(FRP)でモノコックを成形したエランを発表。組み立てが間に合わずにキットカーでの販売も追加されたとか。
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1958 Lotus 12
ロータス初のレーシングフォーミュラが1956年に誕生したタイプ12。スペースフレーム・シャシーにコベントリー・クライマックスを搭載。ロータスの特徴となるウォブリー・ウェッブ・パターンのマグホイールを初めて装着した。
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1962 Lotus 22
ミッドシップレイアウトをロータスとして初めて採用したレーシングフォーミュラが1960年に登場したタイプ18で、タイプ22は1961年のタイプ20に次いで1962年に登場した後継モデル。ディスクブレーキを採用したのが大きな特徴だ。
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1963 Lotus Seven ’77 SCCA National Champion Car
ロータス初のプロダクションモデルとなったマークVIの後継として1957年に誕生したモデルがマークVII、いわゆるロータス・セブン。キットカーとして販売され数々のレースで活躍。こちらは1977年のSCCAナショナル・チャンピオンカーだ。
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その展示方法も画期的でミドルフォーミュラは2本の支柱から生えた”枝”に載せるスタイルで2段重ね、ないしは3段重ねとし、マイナーフォーミュラなどは柱に立てかけられ、F1マシン6台は吹き抜けに伸びた枝に載せられている。インディカーなどはフロア展示だ。
1963 Lotus 29
ロータスが初めてインディカーレースに挑んだのは1963年のこと。前年にF1初のモノコックボディで登場したタイプ25をベースに4.3リッターのフォードV8を搭載していた。インディ500マイルではジム・クラークが2位に入賞している。
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1964 Lotus 34
参戦2シーズン目となった1964年のインディカーレースにはロータス34が投入された。前年の29をベースにエンジンをプッシュロッドV8からフォーカムV8にコンバート。インディではクラークがポールポジションを獲得している。
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1965 Lotus Elan 26R S2
北米市場を念頭に置いて開発された2シーターのロードスターが、1962年に発表されたタイプ26=ロータス・エランだ。X型のバックボーンフレームにFRP製のボディを組み合わせた最初のモデル。こちらは1965年製のシリーズ2だ。
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1970 Lotus 70
北米で人気が高まってきたアメリカン・F5000レース用に加えてヨーロッパでもレース数が増加したF5000用に、F1マシンの49Bの派生モデルとして1970年に登場したモデルがタイプ70。こちらはシボレーV8を搭載している。
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1980 Lotus 81
ロータスが1980年シーズンのF1GP用にリリースしたマシンがタイプ81。前年のタイプ80がベースだが、タイトルスポンサーが、前年のマルティニから石油関連企業のエセックスに替わり、カラーリングもグリーンからブルーに一新された。
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1984 Lotus 95 T
ロータスを代表するカラーリングのひとつがJPSカラー。第1期の7年に加えて2年半ぶりに復活した第2期では5年半の長きにわたってロータスを支え続けた。
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1992 Lotus 102D
ロータスが黄金期だった1960年代を思わせるカラーリングだが、タイトルスポンサーを失い混迷する1992年に投入したタイプ102D。その名のとおり1990年に投入した102を3シーズンにわたって”使いまわし”した。
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博物館にはサーキットを併設し、インディカーレースも開催されるなど、ホンダのコレクションホールにも似た雰囲気で、ぜひともお薦めの博物館だ。
バーバー・ヴィンテージ・モータースポーツ博物館
Barber Vintage Motorsports Museum6030 Barber Motorsports Pkwy, Leeds, AL 35094, U.S.A.
開館時間:10:00~18:00(日曜は12:00~、10月~3月は17:00閉館)
入館料:$20.00+税
バーバー・ヴィンテージ・モータースポーツ博物館の収蔵展示にアメリカを6000km走りまわった疲れも吹っ飛ぶ画像はこちら
シカゴから数千kmのロングドライブの過程で立ち寄ったバーバー・ヴィンテージ・モータースポーツ博物館はアラバマ州最大の都市バーミンガムの郊外に所在する。日本からだとアトランタなどで乗り換えて空路でバーミンガムに行き、レンタカーで訪れるのが一般的だ。1時間足らずの近隣にモータースポーツ殿堂(International Motorsports Hall of Fame)もあり、博物館に併設のバーバー・モータースポーツ・パークではインディカーシリーズが開催されていてレース観戦も楽しめる。
※本記事は雑誌「CARトップ2025年4月号」の記事を再構成して掲載しています
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