WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

ソアラ、GT-R、MID4。日本車が一番熱かった80年代モーターショー伝説

ソアラ、GT-R、MID4。日本車が一番熱かった80年代モーターショー伝説

戦後ニッポン社会と産業を吸い込んで育ったイベント

 新しいホンダ・プレリュードが売れているらしい。祝・昭和100年! 的なご祝儀人気なのか、やっぱりああいうクルマが欲しい、ということなのかもしれない。いまにしてみればずいぶん華やかだった20世紀へのノスタルジーは、根強いのだ。

 我らがクルマ界の一大祭典・東京モーターショーは、そんな時代を盛り上げてくれた花形イベントのひとつだったと、いまでも思う。オリンピックとワールドカップは4年に1度だが、モーターショーは2年に1回必ずやってきて、しかも毎回新しい顔ぶれ。展示物がいつも新しいということは、日本のモータリゼイショインが常に若々しく手探りで、「何でもやってみよう」だったということだ。

 提案型のコンセプトカーかと思えばウケ狙いの飛び道具があり、真剣な研究発表の場でもあるし、その時代時代の空気を吸い込んだアトラクションやコンパニオンで盛り上げもしてくれた。

 1954年に全日本自動車ショウとして東京・日比谷公園で開催され、1959年にオールドファンにはおなじみの晴海国際見本市会場へ。そこから30年後、バブル真っ盛りの平成元年に幕張メッセへ移り、現在では東京ビッグサイトと、かれこれ70年。戦後ニッポン社会と産業のことごとくを吸い込んで育ってきたイベントである。すべてを網羅するなんてとてもムリなので、1980〜90年代、いまでは日本車黄金時代──ネオ・ジャパニーズ・ビンテージたちがまだホヤホヤの新人だった頃にもっぱらフォーカスしてみよう。

モーターショーの花形はハイテク満載カー

 排ガス対策に明け暮れた1970年代は”暗黒期”などとも言われるが、いっぽうで電子制御技術の発達ももたらし、緻密なエンジン燃焼コントロール、つまり”ハイパワー高性能化”へ向かう素地ができあがった。その先鋒が、1979年ショーの話題をさらった日産セドリック/グロリア・ターボだ。1970年代のオイルショックの残り火で、名目上は「ターボなら小排気量で最大限の効率=省燃費」とされたが、排ガス規制を克服したからには、次はハイパフォーマンスだ! と宣言したのも同然だった。

 ターボといえば、1981年の第24回に現れてトールボーイという新時代のパッケージを提唱したホンダ・シティ。翌1982年にターボモデルを追加。シティターボは、小さくてバカッ速なクルマをことごとく示す1980年代の符牒ともなった。

 1981年には、カー・スタイリングの世界でもエポックが現れている。いすゞピアッツァだ。ジョルジエット・ジウジアーロ作のスタディモデルいすゞX(旧名:アッソ・デ・フィオーリ)が1979年東京で公開され、1981年に市販が始まった。

 さらにさらに! 1980年の大阪国際モーターショーでトヨタEX-8として登場した大型クーペが、ソアラの名で正式発表され、1981年東京のスター・オブ・ザ・ショーとなった。ゴージャスなパッケージのなかに志の高いハイテクを忍ばせた点で、以降の日本車を確実に世界品質にした。

技術大国を象徴する最新テクノロジーの数々

 電子制御技術の投入が駆動・操舵系にも広がりを見せていったのが1980年代中期以降で、その頃の東京ショーはバブル時代を予兆&象徴する活況を呈したものだった。TEMS、HICAS、ATTESA、4WS、フルタイム、ビスカス、シーケンシャル、ツインなんとか、マルチなんとかetc.……。普通のドライバーには未知だったテクノロジーを浸透させようと、各メーカーはありったけの横文字をショーでアピールし、我々をケムに巻こうと? した。もちろん、喜んで巻かれましたとも。

 その頂点と言えたのが、1985〜87年ショーを飾った日産MID4シリーズだ。日産はこの頃、ある種の絶頂を迎えていて、Be-1に始まる一連のパイクカー、そしてMID4の具現化であるR32スカイラインGT-Rなど、大盤振る舞いだった。最新技術のてんこ盛りなら、三菱版スーパーカー・HSRシリーズも思い出深い。代を重ねるにつれ、どんどんヌメヌメ、キテレツ(失礼!)になっていくボディデザインともども、「やっぱモ
ーターショーはこうでなくちゃ!」なクルマだった。

 クルマを巡る社会情勢は、あの頃から大きく変わった。クルマ=未来への夢、と必ずしも胸を張れなくなっていることも認めざるをえない。そのうえで、看板がモーターからモビリティへ変わったのは、潮目を読み取り、それでもなお時代の船頭たらんとする我々モータリストの表明なのだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年12月号」の記事を再構成して掲載しています

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了