
この記事をまとめると
■少し前のクルマにはメーター内に水温計や油温計がついていた
■最近のクルマでは水温計や油温計はついておらず異常時は警告灯だけが点灯する
■最新のクルマではより具体的な表示がされるようになってきた
水温計や油温計が消えた理由
かつてはメーターに必ず備わっていた水温計のないクルマが、現在ではほとんどを占めるようになった。油温計や油圧計もほぼ見なくなった。ちなみに水温計とは、エンジンの冷却水の温度を表示する計器で、油温計とは、エンジンオイルの温度を表示する計器だ。エンジンオイルの管理には、油圧計もあった。これは、オイルをエンジン内に行き渡らせるための圧力を示す計器だ。
とくに、オイルを溜めておくタンクがエンジンと別体になるドライサンプ式を採用する高性能エンジンやレーシングエンジンでは必要とされた。ちなみにエンジン下部にオイルを溜めておくオイルパンがある方式は、ウェットサンプという。
ではなぜ、温度や圧力を示す計器がなくなったのか。
エンジンを一定温度に保つ冷却水の温度は、排出ガス浄化と低燃費のため電子制御で厳格に管理されるようになった。排気を浄化する後処理装置の触媒を機能させるため、排気を適正な温度範囲に保つことが不可欠だ。燃費の面では、適切な温度管理により燃料を完全燃焼に近づけ、無駄な燃料消費を抑える。完全燃焼の実現は、排気浄化にもつながる。
したがって、エンジンの冷却水温度は、現代のクルマを排出ガス浄化と燃費性能において的確に規制値を達成しながら走らせるため、オーバーヒート(過熱)はもちろん、オーバークール(過冷却)も許さない。そこで、運転者がそうした温度管理に気を配らなくてもよいようにしている。つまり、水温計が不要になる。
油温計や油圧計も同様だ。
エンジンオイルは、ピストンとシリンダーという金属同士の部品を滑らかに作動させるため不可欠だ。ほかにも、吸排気バルブとカムシャフト、コネクティングロッドとクランクシャフトなど金属でつくられた部品が滑らかに作動するためには、エンジンオイルがきちんと行き渡ることが必須となる。
エンジンオイルはかつて、鉱物油といって、石油を素材につくられていたが、現代は化学合成油といって、材料は同じ石油でも、それを分子の領域で改善し、エンジンに都合のよい性質に整えたものが多くなっている。つまり、四季を通じて気温が高くても低くても適正な粘度を保ち、潤滑性能が大きく変化しない。
温度という点では、低速で走っても高速で走り続けても、変わらず適正な潤滑性能を維持する。こうなると、油圧は走行条件に合わせて保たれることになる。同時にまた、オイルは潤滑のほか冷却にも役立っている。
以上のように、冷却水も潤滑油も、不具合が生じないよう管理されているため、温度や圧力などの状態を運転者が確認しなくてもよくなった。
ただし、万一の故障という可能性は残るため、不具合が生じたら警告灯で知らせるようにしている。もっともそれも、水温や油温といった個別の印や記号ではなく、エンジンに不具合が出ているという象徴的な図案になっていることが多いはずだ。
いずれにしても、発端は、環境性能の厳格化であったかもしれないが、誰もがより安心して日々利用できるクルマに進化したことにより、運転者自らに管理を求める計器は省かれるようになってきたといえる。
