間違えたら大惨事!? 空港で働くソックリな「給水車」と「汚水車」の決定的な違いと見わけ方

この記事をまとめると

■空港ではさまざまなクルマが稼働している

■そのなかに「給水車」と「汚水車」が存在

■見た目は似ているがそれぞれの役割は大きく異なる

飛行機を支える重要車両の中身

 空港の駐機場(エプロン)を行き交う多種多様な働くクルマ。これらは総じて、「GSE(Ground Support Equipment、地上支援機材)」と呼ばれている。そのなかでも、一般の人が機内から見かけて「どっちがどっちだ? 」と疑問に思うのが、「給水車(ウォータートラック)」と「汚水車(ラバトリートラック)」である。

 どちらも平べったい長方形のタンクを荷台に載せたトラックであり、外観が非常によく似ている。しかし、その役割は「生きていくための水を届けること」と、「不要になった排泄物を回収すること」という、まさに正反対の機能をもっているのだ。なぜこれほど似ており、その決定的な違いはどこにあるのだろうか。

 外観が似ている最大の理由は、両者が「液体を運ぶ」という共通の目的をもち、なおかつ「航空機の下部にアクセスしてホースを接続する」というまったく同じ作業プロセスを踏むからだ。航空機の給水口と排水口は、多くの機種で機体の床下エリアに配置されている。

 限られた作業スペースのなかで、機体の接続口までホースを伸ばし、効率よく液体を送り込み、あるいは吸い出すためには、同等のサイズ感をもつトラックのシャーシ(車台)とタンク構造が、もっとも合理的ということだ。結果として四角いタンクを背負い、後部や側面にホース格納部や昇降ステップを備えるという、酷似したシルエットが誕生することとなったのである。

 似た外観をもつ両者だが、内部の構造とシステムは大きく異なっている。当然ながら、衛生面における交差汚染を防ぐために車両設計自体も違う。

給水車(ウォータートラック)

 乗客が機内で使用する洗面所の水や、コーヒー・お茶などに使われる飲料水を供給。タンク内部は完全な飲用水仕様(ステンレス製など)であり、厳格な衛生基準を満たしている。水を機体の高い位置にある給水口まで押し上げるための「加圧ポンプ」と、ゴミの混入を防ぐフィルターシステムをもつ。

汚水車(ラバトリートラック)

 機内のトイレから排出される汚水を回収し、次のフライトに向けてトイレシステムを洗浄・セッティングする。タンク内は「汚水回収タンク」と、トイレを洗浄・消毒するための「洗浄液タンク」の2層にわかれる。汚水をスムースに吸い出すために、「吸引ポンプ」が搭載されている。

 外観が似ているとはいえ、現場での取り違えは絶対に許されない。そのため、外観にはいくつかの明確な違いと、業界共通のルールが存在する。

・ホースの太さと形状

 もっともわかりやすいのがホースである。給水車のホースは、水道ホースを太くしたような比較的細めでクリーンな印象のもの(透明・白・青系が多い)が使われる。一方、汚水車のホースは、大量の汚物を一気に吸引する必要があるため、文字どおり「太い蛇腹状のホース(グレー・黒などの濃色系が多い)」が搭載されている。

・車両のカラーリングと文字表記

 給水・汚水収集を担うグラウンドハンドリング会社では、視覚的に区別できるよう車体に大きく文字が書かれている。「POTABLE WATER(飲用水)」や「LAVATORY(便所・汚水)」といった英語表記のほか、独自の色わけなどによる識別が徹底されている。

・駐機中の位置

 航空機側の接続口は、明確に離れている。機種にもよるが、給水パネルと汚水パネルは機体の前後や左右で離れた位置に設けられており、2台のクルマが同じ場所に並んで作業することはない。

 作業スタッフの資格や担当は厳格に区分されていることに加えて、誤接続を防ぐために機体側のコネクター(結合部)の口径や形状自体が、物理的に異なっている。

 すなわち、給水車のホースを汚水用パネルに繋ぐことはできないのだ。車両の形は似ていても、絶対ミスは起こさない。安全・快適を優先する飛行機の運航を支える車両には、こういった工夫が数多く存在するのである。


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