この記事をまとめると
■空港ではさまざまな特殊車両が活躍している
■飛行機に給油するクルマとして「リフューラー」と「サービサー」が存在する
■万が一の事故を防ぐために何重もの安全装備が備わっている
飛行機にはどうやって燃料を入れてる?
空港のロビーから飛行機を眺めていると、主翼の下に陣取って長いホースを伸ばして作業している車両がある。これは、飛行機に燃料を補給する給油車両だ。自動車の何十倍、百倍もの燃料を、限られた出発準備時間内に安全かつ迅速に注入する彼らは、まさに空港の「縁の下の力もち」といってよい。
空港で見かける給油車両には、大きくわけてふたつのタイプが存在する。ひとつは、一般的な「タンクローリー」の形をしたリフューラー(給油車)だ。車体後部に巨大な燃料タンクを背負っており、主にハイドラント給油設備(航空燃料地上給油設備)のない地方空港や、駐機場所が固定されていない小型機・ヘリコプターへの給油で活躍する。
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もうひとつ、羽田・成田・関空などの大規模国際空港で活躍しているのが「サービサー(航空機燃料給油車)である。多数の計器類があって、ホースやリフトを備えた特殊なトラックだ。不思議なのは、この車両には燃料をためるタンクが搭載されていないことだ。その理由は、駐機スペース(スポット)の地下に張り巡らされている、燃料パイプラインから吸い上げているからだ。
この地下配管から地上へと通じる給油口は「ハイドラントバルブ」と呼ばれており、航空機燃料給油車はこれと飛行機の燃料タンクをホースで「中継」している。地下から高圧で送られてくる燃料を、車両に搭載した高性能フィルターでろ過し、圧力を最適に調整した上で機体へと送り込むのだ。タンクをもたないために車両自体は非常にコンパクトであり、航空機の翼の下(ほとんどの飛行機は給油口がそこにある)に入り込める設計になっている。
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長距離を飛ぶ国際線の大型旅客機であれば、燃料搭載量は10万リットル〜20万リットルに及ぶ。これを、乗客の降機から次の出発までのわずかな時間で給油しなければならない。そのため、航空機燃料給油車1台から伸びるホース1本あたりの給油速度は、毎分約1000リットル〜1200リットルにもなるのだ。乗用車なら、2秒〜3秒で満タンになる計算である。
同車両には、特殊な条件下の空港現場で事故なくスムースに給油が進むように、以下のようなさまざまな特殊装置が装備されている。
・昇降式リフト(プラットフォーム)
飛行機の主翼は高い位置にあるが、機種によってその高さはバラバラだ。そのため、航空機燃料給油車のキャビン後部や中央には、油圧式のリフトが備わっている。作業員は、この上で安全に給油口への接続作業を行う。
・デッドマンシステム
給油中、作業員は「デッドマンスイッチ」と呼ばれるリモコンを手もとにもつ。これを使用すれば、万一の際にシステムが異常を検知して給油を自動的に停止することができる。
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・インターロック(誤発進防止機能)
ホースが地下のバルブや飛行機に繋がったままで、車両が動くと大惨事になる。そのため、すべてのホースやリフトが完全に格納位置に戻らないと、車両のブレーキが解除されなかったりギヤが入らなかったりするなど、強力な安全ロック(インターロック)が働くようになっている。
・マフラー排気口の位置
一般的な車両なら、マフラーの排気口は車両後部に設置されている。しかし、航空機燃料給油車は前方や車両中央下部に取り付けてある。これは、引火などによる事故を防ぐためで、給油ラインに高熱ガスや火花が近づかないようにするためのものなのだ。
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このように、私たちが利用している飛行機の運航はこうした給油車両と、それを操るプロの技術によって支えられているといっても過言ではない。空港を訪れた際には、ぜひ駐機している飛行機の主翼の下にも目を向けてみてほしい。燃料タンクをもたず、ホースで地下と飛行機を繋ぐ「航空機燃料給油車」の機能美に、きっとワクワクさせられるはずだ。