
この記事をまとめると
■古いクルマに憧れる若者がここ数年で増えている
■個性的なデザインやアナログな感覚に憧れている人も少なくない
■古いクルマは故障も多いのでそれ相応の覚悟は必要だ
なぜ不便な古いクルマに憧れるのか
若い世代のクルマ好きの間で、オーナー自身が生まれる前に生産された古いクルマへの人気が高まっています。1980〜90年代のネオクラシックカーをはじめ、さらに古い1970年代の旧車に「あえて乗る」若者が一定数存在します。その理由と考察を、いくつかの視点から紐解いてみました。
1)機械を操る「アナログ感覚」に魅力を感じる
現代のクルマは、アクセルを踏まなくても自動で車線を維持してくれたり、周囲が暗くなれば自動的にヘッドライトを点灯させるなど、ありとあらゆる行為をクルマが先まわりしてくれます。もはや、かゆいところに手が届く「走るコンピュータ」です。そのいっぽうで、「自分がクルマを運転している(コントロールしている)」という感覚が薄れつつあるのも事実です。
これに対し、古いクルマには「電子」と名のつく装備や機能がほとんどありません。さらに、パワステ・パワーウインドウすら装備されておらず、エンジンの振動やオイルの匂いなど、五感を使って機械と対話しながら走る感覚は、デジタルネイティブ世代にとって新鮮なものとして受け止められています。それはまるで、昭和世代がかつて日常的に使っていたカセットテープやレコードが、いまの若い世代には新鮮かつ魅力的に映るのと似ているかもしれません。
2)「似たり寄ったり」な仕様のクルマが街なかに溢れていることへの反動
現代のクルマは、歩行者の保護や燃費を追求する法規や、空力性能を追求したデザインなど、さまざまな制約のうえに成立しています。また、リセールバリューを気にするあまり無難なボディカラー(白・黒・パール系)を選びがちな傾向にあります。その結果、意図的ではないにせよ、「似たり寄ったり」な仕様のクルマが街なかに溢れてしまっています。自動車メーカーのエンブレムを外してしまったら、もはやどこのクルマかわからないといったことにもなりかねません。
こうした状況のなかで、「ほかの人とは被らない、個性的なクルマに乗りたい! 」という欲求を満たす選択肢として、古いクルマを選ぶケースもあります。直線基調のデザイン(箱型シルエット)、三角窓、リトラクタブルヘッドライトなど、現行の法規上では成立しにくい装備は、若い世代にとってファッション性やアイデンティティとなりうるのです。
3)父親あるいは母親など親族が乗っていた記憶の追体験
幼少期のころ、自身の両親や、祖父または祖母など、親族が乗っていたクルマに大人になったら乗りたい(乗ってみたいと思うようになった)というケースもしばしば存在します。憧れや郷愁といった想いが、いつしか自分で所有したいという気もちに変わるのです。そして、なぜか不思議な縁に導かれるように、当時、親族が乗っていた愛車にそっくりの個体と巡り会います。
こうして手に入れたクルマはまさに理想の愛車。「アガリの1台です」。故障や部品の入手困難などのアクシデントにも一切心折れることなく、生涯の愛車として連れ添うことになるのです。
