優先道路走行中にぶつけられても過失10%? 交通事故で「100対0」にならない理不尽な実態とドラレコの重要性 (1/2ページ)

過失割合の決定は当事者同士の合意が原則

 言わずもがな、クルマの運転はつねに事故のリスクと隣合せだ。事故でもっとも多いのはクルマとクルマの接触・衝突、死傷者のない物損事故。全交通事故件数の7割を超えるという。もしかしたら本誌読者のなかにも、ぶつけた・ぶつけられた経験のある人がいるかもしれない。

 ぶつけられた側とすれば、「落ち度は相手にある」と憤ることだろう。しかし、それは自分の言い分。ぶつけた相手からすれば、「そっちのせいでぶつかった」というケースが往々にしてあるから厄介だ。

 “過失割合”という言葉を知っているだろうか? 平たく言えば、事故における各々の運転ミス(=本来払うべき注意を怠ったことで予見・回避できたはずの悪い結果を招いた事態)の比率。仮に自分にまったく過失がなければ「0」、相手側の過失は「100」ということ。

 法律上、交通事故の過失割合は加害者と被害者の「当事者同士の合意」で決めるのが原則とされているのだが、実際は、大半のドライバーが加入している各々の保険会社同士の話し合いで決定するのが一般的だ。

 たとえば、Aの過失が80%、Bの過失が20%の事故の場合。AとBの修理金額が同じ100万円だったとしたら、AはBに対して80万円を、BはAに対して20万円を支払うことになる。そして、相手の保険金で補償されない残りの修理代金(Aは80万円、Bは20万円)については自己負担。車両保険を使うなりしての自腹になる。

0:100が認められる回避不可能な事故とは?

 たとえ車両保険に入っていたとしても、過失割合によって自分のクルマを自腹で直すことになればダメージは小さくない。つねに道路法規を遵守しているドライバーのなかには、「自分がぶつけることはありえない。万が一ぶつけられても自分に非はない。絶対に過失ゼロだ」と勝手に思い込んでいる人も多いかもしれない。ところが、実態はそうではないようだ。

 今回の取材では、筆者が日頃お世話になっていて、過去さまざまな事故を扱ってきた某自動車保険会社の代理店の方に話をうかがうことができたが、我々にとっての”当たり前”が、じつは当たり前ではないことに驚かされる。

「過失割合は保険会社同士の話し合いによって決定する」と前述したが、そのベースであり、参考にされているのが、過去の事故事例をまとめた”判例タイムズ”。ところが、昨今の交通状況などと照らし合わせると、解釈が時代に則していない部分が見受けられるのだという。もちろん判例タイムズがすべてではなく、2026年には改訂新版も出ているものの、その影響は否定できない。

 いずれにせよ、まず知っておくべきことは、クルマ同士の事故での過失割合で、どちらか一方だけの過失が認められるケースはきわめて少ないということだ。

 もっとも、以前からよく言われていることだが、信号待ちや、駐停車時など「自分のクルマが完全に停止した状態でぶつけられた場合は自分の過失はゼロ」という話は正しいと考えていい。

 また、走っている状況では、「交差点で赤信号を無視したクルマと衝突した」、「センターラインをオーバーしてきたクルマが突っ込んできた」、あるいは「逆走車との衝突」なども回避できなかった事故として、加害者側に100%の過失が認められるという。

被害者側も過失を負う理不尽な側面衝突

 信号待ちしていて追突されたなど、誰が考えても防ぎようのない事故で相手が100%の過失を負うのは当然としても、クルマ同士の事故では、被害者側が「なんで100:0じゃないんだ!」と納得できないケースはいくらでもある。この限られたスペースでは、多くの事例を紹介するわけにいかないので、今回はとくに頻度が高く、注意が必要なケースをピックアップして紹介したい。

 たとえば、片側一車線の道路を直進していて、脇道から飛び出してきたクルマに車体側面をぶつけられたとする。道幅からしてコチラが優先、相手が一時停止を怠ったことは間違いない。どう考えても相手が100%悪いに決まっている……といったケースでさえ、ぶつけられたほうも10%程度の過失を負うのが一般的なのだという。

 なぜか? 「被害者側は、脇道からクルマが飛び出してくることも予測して走る必要があった」というのが理由。予知能力でもない限り、見えない場所から飛び出してきたクルマを回避するなど至難の業。「そんなバカな」と思うかもしれないが、本当の話だ。無論、道路沿いのガソリンスタンドやコンビニから不意に進入してきたクルマに衝突したり、されたりしたケースも同様のことが言える。つまり、注意を向けるのは前方だけでなく左(/右)側も。そしていつでも停止/回避できる安全速度で走る必要があったということだ。

 とくに怖いのは、住宅地内の中央線がなく道幅の狭い生活道路。優先道路だと信じ切って、ここでの十字路を漫然と通過するドライバーも少なくないが、「止まれ」の標識を見落とし(無視し)て飛び出してくるクルマだっているかもしれない。通過の際は減速を心がけるのに越したことはない。


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