
この記事をまとめると
■事業用自動車などでは日常点検を1日1回運行の前に実施する必要がある
■トラックの場合は点検箇所が乗用車などよりも多い
■物流を止めないために欠かせない儀式だ
トラックは出発前の点検が欠かせない
トラックの運行前点検は、出発直前に形だけ行う儀式ではない。事業用自動車などでは、日常点検を1日1回、その運行の前に実施することが求められている。長距離を走り、多くの荷物を運ぶトラックは、小さな異常が、重大事故や路上故障につながる可能性があるためだ。ドライバーはエンジンをかける前から車体の周囲を歩き、いつもと違うところがないかを確認していく。
最初に目につくのがタイヤだ。空気圧が不足していないか、亀裂や損傷がないか、異常な摩耗がないか、溝が十分に残っているかを確認する。大型車では1本のタイヤにかかる荷重が大きく、タイヤトラブルの影響も大きい。さらに重要なのがホイールナットだ。ナットの緩みや脱落、ホイール周辺に異常がないかを見る。近年も大型車の車輪脱落事故が問題となっており、ホイールナットの緩みを確実に点検する必要がある。
車体の前後では、ヘッドライト、車幅灯、尾灯、制動灯、方向指示器などの灯火類を確認する。球切れだけでなく、レンズの汚れや損傷も見逃せない。ブレーキランプが点かなければ、後続車に減速を伝えられず、ウインカーの不具合は、右左折するときの事故につながる。ナンバープレートや反射器が汚れて、見えにくくなっていないかも見ておきたい。
次はエンジンルームだ。エンジンオイルや冷却水などの量を確認し、漏れた跡やホース類の異常がないかを見る。エンジンを始動したあとは、異音や異常な振動、排気の状態にも注意する。普段から同じ車両に乗っているドライバーほど、「昨日までと音が違う」「アイドリングの感じがおかしい」といった変化を発見しやすい。
大型トラックで特徴的なのがエア・ブレーキの確認だ。エンジンをかけ、空気圧が正常に上昇するか、警報装置に異常がないかなどを確認する。エアタンクについても、車両や点検時期に応じて凝水がないかを点検する。圧縮空気を利用して、強力なブレーキを作動させる大型車にとって、エア系統の不具合は見過ごせない。
運転席に座ったら、ブレーキペダルや駐車ブレーキの利き具合を確認する。ワイパーが正常に動くか、ウインドウウォッシャー液がきちんと噴射されるか、計器や警告灯に異常がないかもチェックする。さらに、前日の運行で異音、振動、ブレーキの違和感などがあった場合は、その箇所も重点的に確認する必要がある。
点検が終われば、それで終わりではない。異常を見つけた場合は必要な処置をして、安全に運行できる状態かを判断する。配送時間が迫っているからといって、異常を抱えたまま出発すれば、途中で故障して運行が止まるだけでなく、事故につながるおそれもある。
トラックの出発前には、ドライバーがタイヤをのぞき込み、車体を一周し、ランプを確認している姿を見かける。数分の作業に見えても、そこではタイヤ、ホイール、ブレーキ、灯火、エンジン、エア系統など多くの項目が確認されている。毎日の運行前点検は、トラックを安全に走らせるための最初の仕事であり、物流を止めないための重要な習慣なのである。
